ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)は、ケアマネジャーとしての資格を得るために必要な難易度の高い試験です。
余裕を持って合格するためには、効率的で計画的な勉強法が必要です。
ただ、
「いつからどのように勉強すればいいんだろう…」
このように考えている人も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、いつから勉強をしたほうがいいのかを中心に、ケアマネジャー試験の概要や難易度、合格するための勉強法について、1つずつ詳しく解説していきます。
ケアマネジャー試験に挑戦する方は、ぜひお読みいただければと思います。
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ケアマネジャー試験の概要について
ケアマネジャー(介護支援専門員)となるためには、必ずケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)を受験し、合格しなければなりません。
また、試験申し込みの期間が決まっているため、業務に忙殺されているとあっという間に申込期限が目前に迫るなんてこともあり得ます。
また、都道府県によっても概要が異なるため、あらかじめ都道府県ごとのケアマネジャー試験の要綱について把握しておきましょう。
以下が試験の概要となります。
試験概要 | |
---|---|
試験の時期 | 年1回。10月第2週目の日曜日となることが多い。 |
受験地 | 申込み日の時点で、受験資格に該当する業務・職種に従事している場合は、その勤務先のある都道府県。 従事していない場合は、居住している都道府県。 |
願書の受付開始時期 | おおむね受験年の6月下旬から7月下旬(地域によって異なります) 必ず受験地の都道府県の願書提出の時期を予めご確認ください。 |
試験形式 | マークシート記入による五肢複択形式。 |
出題される内容 | 介護支援分野 25問 保健医療サービス分野 20問 福祉サービス分野 15問 の計60問 |
試験時間 | 120分。 ただし点字受験者は180分、弱視等受験者は156分。 |
合格ライン | 基準が介護支援分野で7割程度。 保健医療分野と福祉サービス分野で7割程度。 ただし試験の難易度により補正あり。 過去の試験から予測される合格安全圏は、介護支援分野が20問正答。 保健医療分野と福祉サービス分野が28問正答。 |
受験資格 | 指定された国家資格または業務で、一定期間の実務に従事している者。 詳細は、受験地の各都道府県の担当部署にご確認ください。 |
合格発表 | 12月上旬。 ただしweb上で行う合格者発表は、都道府県ごとに発表時間が異なる。(早い都道府県では0時に発表したケースも有) |
ただし、ケアマネジャー試験は合格すればケアマネジャーになれるわけではありません。
この試験は正式名称『介護支援専門員実務研修受講試験』のとおり、実務研修を受ける権利を得るためのものです。
試験に合格し燃え尽きてしまうと、後々実務研修で大変な思いをするなんてこともあるかもしれません。
ケアマネジャー試験の合格率や難易度
過去10年間のケアマネジャー試験の合格率は、約18%となっています。
介護系の資格試験のなかでは、最も合格率が合格率が低い試験です。
以下が過去10年間のケアマネジャー試験の合格率です。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和5年度 | 56,494人 | 11,844人 | 21.0% |
令和4年度 | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
令和3年度 | 54,290人 | 12,662人 | 23.3% |
令和2年度 | 46,415人 | 8,200人 | 17.7% |
令和元年度 | 41,049人 | 8,018人 | 19.5% |
平成30年度 | 49,332人 | 4,990人 | 10.1% |
平成29年度 | 131,560人 | 28,233人 | 21.5% |
平成28年度 | 124,585人 | 16,280人 | 13.1% |
平成27年度 | 134,539人 | 20,924人 | 15.6% |
平成26年度 | 174,974人 | 33,539人 | 19.2% |
令和に入ってからの試験合格率は、20.1%です。
おおむね5人に1人が合格する試験であるものの、近年の合格率はわずかに増加傾向であると窺えます。
その合格率の低さから、ケアマネジャー試験の難易度は高いと思われがちですが、筆者が実際に試験を体験した感想では『社会人の独学でも十分に対応が可能』なレベルです。
他資格の試験と難易度や合格率を比べた印象
介護福祉士試験との比較
介護福祉士試験は、問題数は125問、試験時間は220分です。
近年の合格率は60%~70%程度で、ケアマネジャー試験と比較して合格率が高めです。
出題内容はケアマネジャー試験より難易度は低いものの、問題数が多く、試験時間も長いため集中力が重要となると言えるでしょう。
社会福祉士試験との比較
社会福祉士試験は、マークシート方式で5つの選択肢から正答を1つ選ぶ出題形式です。問題数は150問、試験時間は240分です。
近年の合格率は25%~30%程度で、ケアマネジャー試験と比べて合格率は若干高いです。
しかし出題内容はケアマネジャー試験より数段難易度が高く、福祉系資格試験のなかではNO.1の難易度です。
ケアマネジャー試験と試験範囲は異なるものの、社会福祉士国家試験を合格した人であれば若干内容がイージーに感じるかもしれません。
看護師試験との比較
看護師試験は、マークシート方式が採用されています。基本は4肢択一ですが、一部に5肢択一形式と5肢択二形式の問題が出題されます。問題数は240問、300点満点の試験で2部制が採用されており、試験時間は合計で320分です。
合格率は80%~90%台で、ケアマネジャー試験と比べて合格率が高いです。
出題難易度に比較は試験範囲が異なるため一概には言えませんが、看護師試験を合格していればケアマネジャー試験の保健医療分野の問題はやや容易に感じるかと思われます。
ケアマネジャー試験の勉強はいつから始めるべき?
ケアマネジャー試験の勉強は、早ければそれに越したことはありません。初挑戦で余裕をもって試験に臨むならば、試験年の2月からがオススメです。
その理由としては、出題範囲が広く、制度の理解や暗記が必要となる内容が多いためです。
また試験合格がゴールではなく、その後に実務研修が控えていることも2月からの勉強を勧める理由の1つです。
急ピッチで過去問をひたすら解く勉強方法で合格する人もいますが、若干リスキーであり、なるべく長い期間にわたって勉強を継続し、コツコツと知識を定着させていくのが定石となります。
2月を既に過ぎている場合、ケアマネジャー試験を受験すると決めたその日から勉強の準備を始めるのがベストです。
試験勉強の開始が遅ければ遅いほど、知識の定着が間に合わず、
「どちらが正解か判断に迷う問題が多い…」
「あと1問正解していれば合格だったのに…」
といった事態に陥るリスクが高まります。
実務研修でも試験勉強で得た知識が必要となることも多く、”試験合格のためだけの勉強”とならないためにも、反復学習を基本として地道に勉強していくことをオススメします。
それでは次に、時期別のオススメの勉強方法を紹介していきましょう。
2月から5月にかけての勉強方法
2月から5月にかけては、テキストを読み込むことで基礎知識のインプットを行うことが大切です。
この時期はまだケアマネジャー試験の申込みも始まっておらず、勉強のモチベーションを保つのがやや難しい時期です。
毎日勉強せずとも、週4日~5日、1日20分程度テキストを読むだけでも、試験勉強後期に入ってからの余裕が全く違ってきます。
試験対策テキストは、この時期は1冊だけで十分です。むしろこの時期に2冊以上買うのは絶対にやめてください。
どのテキストもまとめ方や図は異なるものの、内容は大きく変わりません。
また、まだ何も分からない状態で複数冊買ってしまうと、「このテキストは要らなかった」となる可能性もあります。
1冊に絞ることにより、効率的に勉強を進めることができます。まずは集中的にテキストの内容を記憶していきましょう。
6月から8月末にかけての勉強方法
6月から8月末にかけての勉強方法は、テキストの読み込みなどのインプット主体であったものに、一問一答や問題集を解くといったアウトプットを織り交ぜていくのがおすすめです。
また、学習ペースが早い人はテキストの読み込みの2週目を行いながら復習を行っていくのも良いでしょう。
この頃になれば、問題集などの学習した内容をアウトプットするためのテキスト等の購入もおすすめします。
復習では、自分が完全に暗記できていないポイントや苦手なポイントを中心に学習を進め、極力、苦手分野を無くすことがケアマネジャー試験合格に繋がります。
また、7月~8月頃になると模擬試験が各所で開催され始めます。
私は受験時には模擬試験等を受験することはありませんでしたが、「自身がどのくらい分かっていないか」を知ることができるため、お財布事情に余裕があれば積極的に受験するのもおすすめです。
模擬試験は大抵の場合、実際のケアマネジャー試験より難易度が高く設定されています。
もし合格想定ライン以上の点数が取れればそれは自信に繋がりますし、点数が低ければ自分の弱点も明確に知ることができるため、模擬試験の受験にデメリットはほぼないのです。
9月から試験直前の勉強方法
この時期は、過去問や問題集を勉強の大部分に充てましょう。
持っている問題集に掲載されている問題のうち、9割以上、欲を言えば9割5分以上正答できるよう仕上げていきましょう。
過去問も同じく9割以上正答できるようにしておくことをおすすめします。
ただ、過去問は法改正によって変更となった内容も含まれていたり、出題傾向が変わっていたりもするため、あまりにも前の過去問を行う意義はやや薄いです。
私が実際に令和5年ケアマネジャー試験を受けた感想としては、過去8年間の過去問を網羅しておけば、合格率は格段にアップすると言えます。
出題傾向だけ掴むのであれば、過去5年の試験だけでも十分です。
また、一部のインプットしにくい知識は、この時期に覚えるのも1つの方法です。
例えば私の場合、法改正の内容や人口動態に関する知識は、テキストにも記載が不十分であることが多いため、何度も調べましたが記憶としてあまり定着せず、結局試験直前で一気に覚え、忘れないうちに試験に臨みました。
問題を解くことに余裕を感じるようになったら、重箱の隅を突くような問題が出題されても対応できるよう、具体的な数字(令和5年の試験に出題のあった介護老人福祉施設の廊下幅など)を覚えることに時間を充ててみてはいかがでしょうか。
ケアマネジャー試験は独学でも合格できる?
これは私の体験談となりますが、ケアマネジャー試験は独学でも十分に合格可能でした。
3月から勉強を始めた結果、令和5年の試験を介護支援分野23点、保健医療・福祉サービス分野33点で合格しました。
1~3月頃から勉強を始め、勉強時間を確保でき、モチベーションがある程度保てるならば絶対に独学で受験するべきであるとさえ考えています。
逆に、勉強のスタートが遅い時期で、勉強時間の確保が難しく、独学では何から手を付ければいいか分からない場合は、試験対策講座を受講するのも手段の1つに入ってきます。
特に勉強時間の確保については、ダイレクトに合格の可能性に響いてきますので、自身の状況に合わせて独学か試験対策講座の受講かを選びましょう。
まとめ
ケアマネジャー試験は、介護支援専門員の資格を得るために必要な難しい試験です。合格するには、効率的で計画的な勉強法が必要です。
しかし、合格するにあたっては独学でも十分に対応可能です。試験までの期間が長い場合や、勉強時間の確保が容易な場合は独学での勉強をおすすめします。
ケアマネでまんねんでは、ケアマネジャー試験を受験する方向けの一問一答や実践問題を無料で掲載しています。
受験が初めての方にも、出題されるポイントが分かりやすいよう解説も行っているため、これからケアマネジャー試験に挑戦する方は、ぜひご活用いただければと思います。