ケアマネジャー試験に合格した後、ケアマネジャーとして名簿に登録され実務に就くためには避けて通れないのが実務研修です。
正式名称は”介護支援専門員実務研修”
「試験はあくまでも入口…実務研修こそが本当の試練だった…!」と、実務研修を終えて感じた新人ケアマネジャーも少なくないはずです。
試験勉強とはまた違った角度の難しさがあるため、しんどいと話題のケアマネジャーの実務研修ですが、この記事では次のようなことについて解説していきます。
- 実務研修の概要
- 研修で実際に行う内容
- 実務研修が得意であろう人、苦手であろう人
- 研修前に絶対にやっておいたほうがいいこと
ちなみに筆者は、とっても楽しく実務研修に参加できたよっ!
ケアマネジャーの実務研修とは
ケアマネジャーの実務研修は、研修合計時間87時間以上の数日間に分けて行われます。
またこの研修時間とは別に、居宅介護支援事業所での実習が数日間(概ね3日間が多数)あります。
研修の形態は都道府県ごとに大きく異なり、実際に会場に行って行う集合研修やeラーニングを活用したタイプの研修、Zoomを使用しオンラインでリアルタイムに研修を行う都道府県もあります。
本当に全然違うから、必ずみんなの受験地の実務研修案内で確認してねっ
ちなみに2023年度の東京都の実務研修は、次のようなスケジュールで行われました。
集合研修およびZoom研修を受ける前に、事前にオンライン上で講義動画を視聴します。
主に介護支援専門員としての心構えや、考え方、業務内容について学びます。
講義動画で学んだことについて、Zoom研修および集合研修でグループワークを行います。
リ・アセスメントシートの活用方法や、ケアプランの作成の流れについて主に学びます。
一定時間以上、講義動画を視聴することがZoom研修および集合研修の参加条件となっていました。
居宅介護支援事業所で概ね4日間、実習を行います。
利用者へのアセスメントやモニタリング、模擬的なケアプラン作成から給付管理等について主に学びます。
ここだけの話、実習先の事業所や研修担当者によって感じがだいぶ違うみたいだよっ
実習を経て学んだことを、グループに分かれ1人ずつ発表を行います。
また、疾患ごとのケアプランの作成の仕方を学んだりや、アセスメントの方法などをグループワークで話し合いを行ったりもします。
最後の研修時には、研修を通して学んだことや、自身がどのようなケアマネジャーとなりたいかなどを、グループに分かれ1人ずつ意思表明を行います。
その後、介護支援専門員証の申請方法等のオリエンテーションを受け、研修は修了となります。
これもここだけの話、一緒に実務研修を受けた96人のうちケアマネになるって言ってた人は30人ちょっとだったよっ…
なお東京都の実務研修は、Zoom研修が主です。
日程ごとに5つの枠に分かれて研修が行われますが、集合研修は1枠しかありませんでした。
筆者は集合研修を第一希望としましたが、定員が設けられている関係上、落選しZoom研修となりました。
Zoomやeラーニングでの研修があると分かっている場合には、事前にオンライン上で研修を受ける準備(PCやネット環境、webカメラ等)を行っておくと、スムーズです。
なお、オンライン研修がある場合、通信環境は必ず確認しておいたほうがいいです。
筆者はZoom研修中にWi-Fiの回線が落ちて、研修未履修(=次年度の研修までケアマネになれない)になる寸前といった事態となりましたので、受験生には必ずそう伝えています。
グループワークで行うこと
研修中には何度もグループに分かれてワークを行う場面があります。
具体的には次のようなことについて、グループワークを行います。
・仮想の利用者の情報をもとに、長期目標と短期目標を話し合い発表。
・リ・アセスメントシートを活用し、利用者の最も強いニーズが何かを話し合い発表。
・ニーズをもとに、どのようなサービスや社会資源が利用者に適しているかを話し合い発表。
・利用者、家族、サービスの担当者、ケアマネジャー役に分かれ模擬サービス担当者会議開催。
・同上の者+医師やリハビリ職役が加わり、模擬退院前カンファレンス開催。
・実習先で作成した利用者の模擬ケアプランの作成意図の説明、発表。
この他にもありますが、概ねこのような内容でグループワークを行います。
とにかくグループに分かれ発表、発表、発表です。
これはおそらく、どの都道府県でも同様だと思われます。
また、自分の意見や考えを述べなければならない場面が度々あります。
この点がケアマネの実務研修は「しんどい」と言われる一端かもしれません。
実務研修って落ちることはあるの?
結論から言うと、実務研修は落ちることもあります。
ただし、普通に研修を受けている分にはまず落ちることはありません。
実務研修で落ちる(=研修未履修)となる原因は次の3つです。
- 研修態度が不良
- 期日内の提出物未提出
- 欠席
研修態度が不良
実務研修中の居眠りや研修と関係のない行動(スマホを弄る等)は、度を超えると研修未履修となるおそれがあります。
通常わたしたちが考えるのは、「問題行動」→「注意・指導」→「何度も問題行動」→「落ちる」といったプロセスかと思いますが、介護支援専門員実務研修のような法定研修は、1回の問題行動で落ちる可能性があります。
そのため実務研修は、まじめな態度で取り組むことをおすすめします。
またZoom研修では、研修中の離席も落ちる原因のひとつとなるため、自宅内で行うからといって油断しないよう注意してください。
期日内の提出物未提出
これは問答無用で落ちます。
内容が不完全でもいいので、必ず提出物は期限内に提出しましょう。
欠席
これも問答無用で落ちます。
どのような理由でも欠席は認められません。
上記の3つに注意すれば、「実務研修に落ちた…」などといった事態は必ず回避できます。
実務研修が得意な人と苦手な人の特徴
ここまでケアマネジャーの実務研修の概要や内容について触れてきましたが、なんとなくどういった研修かイメージが湧きましたでしょうか?
「あっ…記事を読む限りちょっと苦手かも…」
そう思った人もなかにはいるかもしれません。
実際に実務研修を受けて感じた、ケアマネジャーの実習が得意かもしれない人の特徴は次の通りです。
1 自身の意見や考え方を言語化することが得意。
2 複数人で話し合うことが苦ではない。
3 人の話をよく聞くことができる。
4 自分と違った意見にも感情的にならずにいられる。
自身の意見や考え方を言語化することが得意
ケアマネジャーの実務研修は、グループに分かれ自身の意見や作成した物を発表する場面がかなり多いです。
また、ファシリテーターや司会進行役の人から意見を求められることも少なくありません。
そのような場面で自身の意見や考え方をしっかり言語化できると、相手に発表の内容を伝えやすくなります。
特に発表の場面では、「なぜこの人の最も強いニーズはこれだと思ったのか?」のような質問などをされることも多く、自身の意見や考え方を言語化することが得意なほうが焦らずに済みます。
逆に苦手な人は、ちょっとしんどいと感じることもあるかもしれません。
複数人で話し合うことが苦ではない
グループワークの性質上、ほとんどの実習では複数人と話し合います。
そのため、自発的に議題のトークに食い込めるくらいには話し合いに参加できれば、あまり苦労しないかもしれません。
なお東京都のZoom研修では、ほぼ毎回…どころか午前中と午後でもグループメンバーが総入れ替えされていたため、特定の人と仲良くなる間もなく話し合いがスタートしていました。
複数人で話し合うことが苦ではないと、こうした場面でも余裕を持って乗り切れるかと思われます。
反対に、複数人での話し合いの場面で発言をほとんど自発的に行わない人はちょっとしんどい思いをする可能性があります。
現に筆者の実務研修時には、グループワーク中に発言を自発的に行わない人に対して、ファシリテーターから指摘や質問をされている場面が複数回ありました。
ファシリテーターの人にもよるけどねっ
人の話をよく聞くことができる
グループワークでは、自身が話す時間よりも圧倒的に人の話を聞く時間の方が長いです。
他の人の発表を聞いたうえで、グループとして意見をまとめて発表を行うといった場面もあるため、人の話をよく聞くことができるのは非常に大切な能力です。
また1回のワーク自体の設定時間は、1時間半~2時間と長丁場なことも少ないため、なるべく集中力を切らさずに人の話を聞くようにしましょう。
人の話を聞いていないと、話し合いの場面で研修生同士のコミュニケーションの軋轢を生むきっかけにもなりかねないため、注意が必要です。
自分と違った意見にも感情的にならずにいられる
グループワークの議題は、大抵の場合答えが定まっていません。
それゆえに全員異なる意見であったり、意見が二分するといったことは珍しくありません。
また、自身の発表に対して「このサービスの意図は?」、「それならこちらのほうがいいのではないか?」といった意見が出てくることは、ほとんどの人が経験するのではないでしょうか。
このような場面で感情的になってしまうと、その後の話し合いに多大な影響を及ぼす恐れがあるため、自制することが求められます。
どんな指摘に対しても「貴重なご意見ありがとうございます。」といった冷静な姿勢でいられる人の方が、実務研修は苦労せず乗り切れるかもしれません。
稀に攻撃的な詰め方をしてくる人がいてちょっとイラッとしたのは内緒だけどねっ!
実務研修前にやっておいたほうがいいこと
筆者が実際に実務研修を受け、事前にやっておいた方がよいと強く皆様にオススメするのは次の2つです。
・通信環境の確認
・体調の調整
正直、これ以外は事前に準備する必要はほぼありません。
紹介した実務研修の内容がどんなに苦手でも、基本的になんとかなります。
裏を返せば、何があろうと出席だけは必ずしなければなりません。
体調不良で身体がしんどくても、その研修期間内でケアマネジャーに登録したければ休むことは認められません。
そのため事前に体調を整えておくことが重要となります。
筆者はZoom研修当日にインフルエンザに罹ってしまって、本当にきつかったよっ…
また、先ほども少し触れましたが、web上で研修を行う都道府県である場合、必ず通信環境を確認しておきましょう。
介護支援専門員実務研修は法定研修であるため、通信回線トラブルによる研修途中の長い時間の離席は研修未履修扱いとなるおそれがあります。
研修未履修による救済措置は、都道府県によって異なる可能性はありますが、基本的にほぼありません。
そのため行われる研修が1回でも未履修となった場合、来期(=来年)に行われる研修を修了しなければケアマネジャーに登録できなくなります。
これはどの都道府県でも同様であるため、何度も書きますが必ず通信環境を確認してください。
ちょっと理不尽に感じるけど…法定研修ってそういうものらしいですっ
筆者は幸い、研修前にモバイルWi-Fiを契約していたため、メインで使用していた回線が落ちてもモバイルWi-Fiに接続することで事なきを得ました。
Zoomの接続が切れたときは、冷や汗が止まらないくらいに焦りましたし、事務局に電話連絡して「残念ですが…」と言われたらどうしようかと心臓がバクバクでした。
モバイルWi-Fiへの接続のおかげで、1分程度の離席で済みましたので、おそらくセーフだったのだと思います。
よほど普段使用している回線に自信がなければ、モバイルWi-Fiなどサブの回線を用意しておくことをおすすめします。
ちなみに筆者は、研修が終わったら解約できるように契約期間の縛りがない「クラウドWiFi」を使ってました
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クラウドWiFiがケアマネジャーのオンライン研修に向いているポイントを簡単に紹介すると、次の通りです。
・最低契約期間(1ヶ月)終了後は契約期間の縛りがないため、研修がすべて終われば違約金無しで解約できる。
・どんなに使っても固定料金。
・前日に使いすぎても1日ごとの通信制限がないため、研修当日に通信制限に陥るリスクがない。
・契約後、早ければ翌日にWiFiルーターが届く。
筆者も実務研修を受ける準備として色々なWi-Fiについて調べましたが、クラウドWiFiが最もケアマネジャーの研修受講者に対して向いていると感じました。(2024年1月時点)
他にも通信回線サービスは多くありますので、よろしければぜひ調べてみてください。
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おわりに
ケアマネジャーの実務研修は、試験とはまた違った能力が求められるため、人によってはきついと感じるかもしれません。
また、「実習先の居宅介護支援事業所の担当者が厳しくて心が折れそうだった」といった声も聞いたことがあります。
しかし、実務研修は参加さえしていれば基本的にクリアできます。
研修を欠席したり途中退出してしまうと、その年にケアマネジャーとして登録できない可能性が非常に高いため、急激な体調不良や通信トラブルを起こさないよう、必ず準備をしておきましょう。
皆さまが、研修を無事修了し、ケアマネジャーとして登録できるよう祈願しております。