ケアマネジャー(介護支援専門員)になるためには、ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)に合格しなければなりません。
しかし、この試験は介護系の資格のなかでは難易度が高く、毎年多くの受験生が不合格となっています。
この記事ではケアマネジャー試験の難易度や合格率、試験範囲や合格基準等の情報をお伝えします。
また、2023年ケアマネジャー試験を合格した筆者の体験から次のようなことの予想についても触れていきます。
- 過去の試験と比べ2023年(令和5年)の試験がどの程度の難易度だったのか
- 2024年(令和6年)のケアマネジャー試験は難しくなるのか
など、予想もお伝えしていきます。
ケアマネジャー試験に挑戦する前に、ぜひ参考にしてみてください。
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ケアマネジャー試験とは?
ケアマネジャーとは、介護保険制度のもとで要介護者(要支援者)やその家族に、介護サービスの調整を主に行う専門職です。
ケアマネジャーになるためには、ケアマネジャー試験に合格し、実務研修を修了したあとに都道府県に登録をする必要があります。
試験は、介護支援分野と保健医療分野、福祉サービス分野の3分野から出題されます。
合格には【介護支援分野】と【保健医療分野と福祉サービス分野】で、それぞれの合格基準点を満たさなければなりません。
ケアマネジャー試験の難易度はどのくらい?
ケアマネジャー試験の難易度は、受験資格も含め他の介護関係の資格と比較して高めです。その理由は、以下のようなものが挙げられます。
試験時間が短い
ケアマネジャー試験は、120分という短い試験時間で、60問の問題を解かなければなりません。スムーズに試験問題を解いていくためには時間管理や解答のコツを習得することが必要です。
出題形式が五肢複択
ケアマネジャー試験は、五肢複択という出題形式で選択肢の1つが正解でも、他の選択肢を間違えれば正答になりません。より正確な知識が必要とされます。
「選択肢のうち、正しいものを2つまたは3つ選べ。」という出題形式となっています。
受験資格が厳しい
ケアマネジャー試験の受験資格は、2018年から厳しくなりました。
介護の実務経験だけでは受験することができず、一定の法定資格や相談援助業務の経験が必要になりました。
また、2024年現在、保有資格による免除科目もありません。
実務との並行が難しい
ケアマネジャー試験に挑戦する人の多くは、社会人として働きながら学習を進めることになります。
介護の現場によっては、不規則であったり長時間の労働形態であることもあり、仕事終わりや休日は休むだけで精一杯という人も少なくありません。
そのため学習時間の確保が難しく、実力不足のまま受験するケースが多くなってしまいます。
ケアマネジャー試験の合格率はどのくらい?
ケアマネジャー試験の合格率は、過去10年間で平均して17.88%となっています。
なお昨年の第26回試験では、合格率は21.0%でした。受験者数は56,532人で、そのうちの合格者数は11,844人でした。
ケアマネジャー試験の合格率は、他の介護関係の資格と比較しても低いです。例えば、介護福祉士の合格率は84.3%、社会福祉士の合格率は44.2%、看護師の合格率は90.8%です。
合格率の数字だけで見るとケアマネジャー試験は難易度が高いと思われるかもしれません。
ただ、筆者の体感としては福祉系資格のなかで最も難易度が高いのは社会福祉士であり、ケアマネジャーはその下の難易度です。
そのため、受験前から低い合格率に委縮する必要はなく、きちんと勉強を行うことができれば合格できる資格といった印象です。
ケアマネジャー試験の試験範囲と合格基準は?
ケアマネジャー試験の試験範囲は、介護支援分野と保健医療分野、福祉サービス分野の3分野です。
介護支援分野は、介護保険法制度や関連する制度、国や地方自治体の事務などの介護支援専門員の業務を行う上での下地となる知識を問われます。
保健医療分野は、基礎的な医学知識や医療系サービスの内容に関する知識を問われます。
福祉サービス分野は、面接技術に関する内容および介護サービスの内容に関する知識を中心に問われます。
試験範囲は毎年変わることはありませんが、法改正や社会情勢の変化によって、出題内容や傾向は変わることがあります。
2024年度には介護保険法改正が施行された関係で、改正内容を含む選択肢の出題もあるかもしれません。
ケアマネジャー試験の合格基準は、各分野ごとに正答率70%から難易度による補正が入った点数です。
具体的な点数はその年ごと変わります。
2023年度の第26回試験では、介護支援分野の合格基準点は17点、保健医療・福祉サービス分野の合格基準点は24点でした。
最も合格基準のラインが高かったのは2022年度の第25回試験で、介護支援分野の合格基準点は18点、保健医療・福祉サービス分野の合格基準点は26点です。
どちらの分野も正答率70%前半が合格基準点となりました。
ただ、今後さらに合格基準点が上振れする可能性も考えられます。
そのため正答率75%以上が合格安全圏といえるでしょう。
つまり介護支援分野は19点以上、保健医療分野と福祉サービス分野は27点以上が合格安全圏内です。
合格発表まで気持ちに余裕をもって過ごすならば、この点数を目標に試験勉強を進めていきましょう。
2024年度ケアマネジャー試験は去年より難しくなる?
筆者の予想となりますが、2024年度のケアマネジャー試験は、昨年と同等の難易度になる可能性が高いと考えています。
昨年の試験の難易度は次のように筆者は感じました。
・介護支援分野では、過去の試験に出題されたことのない「地域医療介護総合確保基金」、「介護サービス開始時に事業者が都道府県に報告する情報の詳細」についての問題があったものの、点数の取りやすい事例問題が3問であったり、概ね頻出傾向にある内容が多く、難易度は過去10年の試験のなかではやや易しめ。
・保健医療分野は、出題傾向は変わらないものの、過去の試験では見られないような選択肢が多く、過去10年の試験のなかでもやや難しめ。
・福祉サービス分野は例年通りの難易度。
2017年以降、低迷している受験者数はやや増加傾向にあり、特に地方ではケアマネジャー不足も深刻になるといった背景もあるため、今後数年は大きく難易度が上がることは考えづらいです。
ただ、それは合格基準点の高止まりも意味するため、勉強が甘いと基準点にギリギリ足らずに不合格となる可能性が高いということです。
2024年度には介護保険制度改正がありますが、介護を取り巻く環境の大きな変化が見込まれます。
とはいっても改正内容を含む問題は1問、多くても2問程度の出題に留まると思われ、難易度にはほぼ影響はないでしょう。
難易度が上がりづらいだろうと予想しても、油断せずに勉強を行っていきましょう。
ケアマネジャー試験に合格するためには?
ケアマネジャー試験に合格するためには、効率的かつ効果的な勉強法が必要です。
「何をしたらいいかわからない!」という人は、まずは以下のようなポイントに注意して、学習を進めてください。
試験範囲を把握する
まずはそれぞれの分野の出題内容や傾向を理解することが大切です。
試験範囲に関する情報は、東京都福祉保健財団HPなどで確認できます。
また各出版社のケアマネジャー試験対策テキストで確認するのも、わかりやすくおすすめです。
なお私のおすすめの試験対策テキストは中央法規の『ケアマネジャー試験 ワークブック2024』です。
ワークブック2023をメインに試験勉強を行い、ケアマネジャー試験に余裕をもって合格できました。
基礎知識を身に着ける
ケアマネジャー試験は、普段の実務をしているだけでは身につかないレベルの知識が問われる試験です。
特に介護支援分野に関しては、保健医療分野でアドバンテージがある医療系資格者でも馴染みがなく最初は苦戦するでしょう。
まずは基礎知識をしっかりと身につけることが必要です。
基礎知識を身につけるためには、テキストや参考書、問題集などを活用してください。
また、法改正や社会情勢の変化に対応できるように、最新の情報もチェックしてください。
過去問を解く
ケアマネジャー試験に限らず、過去問を解くことは、多くの時間を割く価値が高い勉強です。
あまり推奨しませんが、なかには過去問だけで勉強し試験に合格する人もいるくらいです。
過去問を解くことで、試験の難易度や出題傾向を把握できます。
また、自分の弱点や課題を見つけることもできます。
過去問を解く際には、時間を計って模擬試験を行うこともおすすめです。時間管理や解答のコツを身につけることができます。
なおケアマネでまんねんでは、無料で令和5年~平成30年のケアマネジャー試験の過去問を解説付きで掲載しています。
一問一答問題や実践問題、模試を解く
ケアマネジャー試験を想定した問題を解くのも、有効な勉強の1つです。
各出版社では一問一答や問題集も出版されているため、実力を伸ばすために挑戦してみてもいいかもしれません。
過去問だけではカバーできない最新の出題傾向や、より細かい内容を理解するためには、様々な問題を解くことが最も適しています。
ケアマネでまんねんでも、2024年度ケアマネジャー試験を想定した一問一答問題や5肢複択問題を無料公開しているため、よろしければご覧ください。
まとめ
この記事では、ケアマネジャー試験の難易度や合格率、試験範囲や合格基準などの情報をお伝えしました。
ケアマネジャー試験は、実務を行っているだけでは馴染みのないレベルの知識が求められる試験です。
しかし、効率的かつ効果的な勉強法を実践すれば、合格は十分に可能です。
ケアマネジャーになるという目標を諦めずに、勉強し続けてください。
ケアマネジャーとして、皆さんと一緒にお仕事がで活躍できる日を楽しみにしています。