この記事の学習優先度は”やや高い”です。
循環器疾患は、ケアマネジャー試験で2~3年の頻度で出題されています。
出題されやすい疾患は限られており高い知識が求められる出題は少ないですが、幅広い知識が正答するためには必要です。
この記事では、過去の試験に出題された内容に基づいて出題されやすい循環器疾患のポイントを解説していきます。
試験勉強にぜひお役立てください。
高血圧症
高血圧症には、原因不明の本態性高血圧と、原因が特定できる二次性高血圧があります。
高血圧症のほとんどが本態性高血圧です。
症状
自覚症状はほとんどありません。たまに頭痛や動悸などを感じる人もいます。
高血圧症自体は症状に乏しいものの、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める要因となります。
治療や対策
塩分過多の食生活や肥満の改善、禁煙などが高血圧症の対策として有効だと言われています。またストレスも血圧を高める要因の1つであるため、ストレスの軽減を図るのも効果的です。
治療の1つに降圧剤がよく用いられますが、血圧が下がりすぎてふらつきが現れ、転倒のリスクが高まることもあります。
また高齢者は特に日内変動が大きい傾向にあり、血圧測定は毎日決まった時間に行うことが望ましいとされています。
狭心症
狭心症とは、心臓に酸素を送る冠動脈が狭くなることにより発作を起こすもので、一時的に十分な量の酸素を心筋に送ることができなくなる疾患です。
狭心症には次のような種類があります。
種類 | 特徴 |
---|---|
労作性狭心症 | ・階段昇降などの労作時に前胸部の圧迫などが生じる。 ・ほとんどが冠動脈の動脈硬化が原因。 |
異型狭心症 | ・決まった行動や決まった時間に前胸部の圧迫などが生じる。 ・朝方の発作が多い。 ・動脈硬化と関係がない。 |
労作性狭心症は動脈硬化と深い関係があるのに対し、異型狭心症はほとんど関係がないとされている点はチェックしておきましょう。
症状
前胸部の圧迫のほか、胸部の締め付けや息切れなどが現れます。
なかには喉や肩に違和感を感じる人もいます。
治療や対応
発作時にはニトログリセリンの舌下投与が有効です。
高血圧症や糖尿病、肥満、喫煙が発症に関与するため、これらの改善で発作が軽減できる可能性があります。
狭心症を治療せず放置すると心筋梗塞に移行するリスクが高まります。
心筋梗塞
冠動脈が詰まり心筋の細胞が壊死する疾患です。心筋の壊死は重度の不整脈に繋がり、命を落とす原因にもなります。
症状
前胸部の強い痛みや締め付け感が狭心症の発作よりも長く続きます。
高齢者では症状が典型的でないことも珍しくなく、なかには痛みさえない場合があり発見が遅れがちです。
狭心症の発作を経験している場合、似たような症状であることも発見が遅れる一因となります。
また心筋梗塞の痛みは時として、左肩や歯など心臓から離れた場所に放散痛として現れることが知られています。
治療と対策
ニトログリセリンの舌下投与は無効または効果が薄いといわれています。
そのため、狭心症の発作と思いニトログリセリンを服用しても症状が和らぐ気配がない場合には、早急に医療機関の受診が必要です。
高血圧症や糖尿病、肥満、喫煙が発症に関与するため、これらの改善が発症リスクを低下させます。
心不全
心臓の持つポンプ機能が十分に機能しなくなった状態のことを言います。
心筋梗塞や不整脈などによって発生します。
症状
呼吸困難や浮腫み、食欲低下などの軽いものから、肺水腫やショック状態といった命にかかわる症状まで様々です。
高齢者では心不全を原因として認知機能の低下がみられることもあります。
心臓に基礎疾患があり急激に浮腫みが出現した場合などは、心不全が原因であることも考えられます。
治療と対策
主に服薬管理が行われます。
日常生活では運動制限や塩分制限、酸素吸入などにより心臓の負担の軽減を図ります。
また呼吸困難が現れた場合には起坐呼吸が有効です。症状が和らぐことがあります。
不整脈
端的に言えば、心臓の拍動の異常のことをいいます。
不整脈は原因やその起こり方で多くの種類に分類されていますが、ケアマネジャー試験で重要となるのは次のものです。
- 心房細動
- 期外収縮
- 徐脈性不整脈
心房細動
頻脈性不整脈という不整脈の一種で、心房と呼ばれる心臓内の部屋が小刻みに震えて痙攣し、心臓が正常に収縮・拡張できなくなるものをいいます。
心房細動自体が直接命に関わることはありませんが、心房細動によって血管中の血栓がはがれ、その血栓が脳梗塞を引き起こす原因となります。
期外収縮
不整脈のなかでもっとも多いとされているものです。
規則正しく脈が拍動している最中に、時折少し早い脈が入り込むのが期外収縮です。
特に心疾患を持たない健康な人にもみられます。
自覚症状に乏しく、放置してもほとんど問題ないとされています。
徐脈性不整脈
1分間の心拍数が60回未満になった場合を徐脈性不整脈といいます。
加齢や心筋梗塞、薬の副作用などにより現れることがあるものの、多くの場合は原因不明です。
脈の低下とともに息切れやめまい、眼前暗黒感、時に失神が現れることがあります。
継続して心拍数が40以下となる場合には生活に支障が出る可能性が十分にあり、ペースメーカーの埋め込み術が適応となります。
確認テスト
問1 高血圧症のうち、原因のはっきりしないものを二次性高血圧という。
問2 労作性狭心症は冠動脈の動脈硬化によって発症リスクが高まる。
問3 心筋梗塞は冠動脈が詰まることで発症する。
問4 心不全の症状がみられる場合には仰臥位を取らせる。
問5 心房細動はAEDの適応となる。
問6 期外収縮はペースメーカ埋め込み術の適応となる。
まとめ
ここまでケアマネジャー試験に向けて学習しておきたい循環器疾患のポイントについて解説しました。
特に試験に出題されやすい疾患は次の6つです。
- 高血圧症
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 心不全
- 不整脈(心房細動、期外収縮、徐脈性不整脈)
特に狭心症や心筋梗塞、心不全は出題頻度がやや高めですので、押さえておきたいポイントです。
過去6年間の疾患別試験の出題頻度はこちらのページで紹介してるよっ
どの疾患でもケアマネジャー試験での疾患の勉強のコツは「詳しく勉強しすぎないこと」です。循環器疾患だけでも途方もない数があり、症状があり、原因や治療法があります。
すべて覚えようとすると時間がいくらあっても足りません。
この記事で解説した内容を踏まえ、学習をすすめていくことをおすすめします。
皆さまがケアマネジャー試験に合格できるよう、祈願しております。
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