この記事の学習優先度は”低い”です
認知症基本法が2024年1月1日に施行されましたが、介護福祉、ケアマネジャーの業務にも関わる法律であるため、2024年度以降のケアマネジャー試験への出題も考えられます。
また、認知症基本法の目的である「共生社会の実現」は近年の日本の社会福祉のメインテーマであり、福祉に携わる従事者は基本的な内容を抑えておきたいところです。
この記事では、認知症基本法の概要や要点に触れ、主にケアマネジャー試験で出題が予想される内容について解説していきます。
認知症基本法に関する基本的な概要は、こちらのページにまとめているよっ
認知症基本法が2024年度ケアマネ試験に出題される可能性
2024年度ケアマネ試験に認知症基本法に関する設問、選択肢が出題される可能性は低いと予想しています。
この根拠としては、介護保険法と別の法律または別の法律を根拠とする施策等に関する出題は、施行年やその次の年で出題されにくいという前例がケアマネ試験にはあるためです。
具体的には次のようなデータがあります。
法律や施策等 | 施行・実施年 | 試験初出題 |
---|---|---|
後期高齢者医療制度 | 平成20年4月 | 平成25年度(第16回) |
障害者総合支援法 | 平成25年4月 | 平成27年度(第18回) |
新オレンジプラン | 平成27年1月 | 平成30年度(第21回) |
地域医療介護総合確保基金 | 平成27年 | 令和5年度(第26回) |
生活困窮者自立支援法 | 平成27年4月 | 令和元年度(第22回) |
重層的支援体制整備事業 | 令和3年4月 | 令和4年度(第25回) |
もちろんデータのように、この出題傾向が続くとは限りません。
しかし、他にも出題されやすいポイントは多くあるため、現状では余裕があれば勉強しておいたほうがいい程度かと思われます。
以下が、認知症基本法のケアマネ試験対策として最低限押さえておきたいポイントです。
認知症基本法の概要
認知症基本法は、高齢化社会が進む中で、認知症に対する理解と対応を深めるために制定された法律です。
端的に言ってしまえば、共生社会の実現を推進することを目的とした法律です。
認知症基本法の理念
認知症の人が尊厳をもって暮らすことができるように、認知症基本法には次の7つの理念があります。
原文のままでは覚えづらいため、試験対策としてはポイントを絞って覚えるのをおすすめします。
- 基本的人権の尊重
- 国民の理解
- 認知症バリアフリーと認知症の人の個性と能力の十分な発揮
- 保健医療、福祉サービスの提供
- 認知症の人の家族の支援
- 共生社会の実現のための研究等の推進
- 各関連分野との総合的な取り組み
原文に近い文章はこちらをご覧ください。
認知症基本法についての設問が出題されるとすれば、理念について問うものが出題される可能性は高いと予想されます。
ケアマネ試験対策として予習しておくならば、優先的にチェックしておきましょう。
認知症施策推進基本計画等
認知症施策推進基本計画は政府(認知症施策推進本部)が策定します。
この認知症施策推進基本計画は、策定後、インターネット上などで公開しなければならないとされています。
また、少なくとも5年ごとに、基本計画に検討を加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならないと規定されています。
なお認知症施策推進計画を基に、都道府県認知症施策推進計画と市町村認知症施策推進計画が策定されます。
都道府県認知症施策推進計画と市町村認知症施策推進計画の策定は努力義務です。
都道府県認知症施策推進計画
都道府県認知症施策推進計画は、都道府県介護保険事業支援計画や都道府県老人福祉計画、都道府県地域福祉支援計画および医療計画と、調和が保たれたものでなければならないとされています。
また、少なくとも5年ごとに検討を行い必要に応じて変更するよう努めなければならないとされています。
市町村認知症施策推進計画
市町村認知症施策推進計画は、市町村介護保険事業計画や市町村老人福祉計画、市町村地域福祉計画と、調和が保たれたものでなければならないとされています。
また、少なくとも5年ごとに検討を行い必要に応じて変更するよう努めなければならないとされています。
認知症施策推進基本計画は、ケアマネ試験対策として予習するならば最優先でチェックしておくべきポイントです。
その理由は、市町村介護保険事業計画や都道府県介護保険事業支援計画に関連する内容であるためです。
基本的施策
認知症基本法には、次のような施策を行うことが規定されています。
- 認知症の人に関する国民の理解の増進等
- 認知症の人の生活におけるバリアフリー化の推進
- 認知症の人の社会参加の機会の確保等
- 認知症の人の意思決定の支援及び権利利益の保護
- 保健医療サービス及び福祉サービスの提供体制の整備等
- 相談体制の整備等
- 研究等の推進等
- 認知症の予防等
- 認知症施策の策定に必要な調査の実施 など
わかりやすくまとめるならば、認知症の人やその家族のサポートや、認知症の普及啓発、予防、研究、調査の推進を行うことが施策として定められています。
基本的施策は、理念と内容が被る部分も多く、覚える優先度は高くないと考えられます。どちらか一方を覚えるだけでも、もう片方について問われた場合には攻略できると予想されます。
国、地方公共団体、国民の責務
認知症基本法では国、地方公共団体および国民には次のような責務があると定められています。
- 国・地方公共団体は、基本理念に基づき認知症施策を策定・実施する責務がある。
- 国民は、認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深め、共生社会の実現に寄与するよう努める。
- 政府は、認知症施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずる。
- 社会インフラに位置するサービス事業者は、認知症の人に配慮するよう努める。
責務については、選択肢として出題される可能性もありますが、基本的に覚える優先度は低いと考えています。
出題されるとしても、現在のケアマネ試験の出題傾向的に、文脈で何となく正誤判定が付く選択肢として出題される可能性が高いと予想されます。
まとめ
認知症基本法については、過去のデータを考慮するならば2024年度のケアマネ試験で出題される可能性は決して高くありません。
そのため、余裕があれば勉強したほうがいい内容の1つではないかと考えています。
もし対策として勉強するならば、認知症施策推進基本計画についてまずは押さえておきましょう。次にその理念や施策、責務についてチェックするのがおすすめです。
皆さまがケアマネ試験を合格できるよう、祈願しております。