この記事の学習優先度は”高い”です。
ケアマネジャー試験の出題分野の1つである保健医療サービスの知識等では、毎年複数の疾病の内容について問う選択肢の出題があります。
この記事では、過去の試験に出題された内容に基づき、出題傾向と照らし合わせて「コレだけは絶対に覚えてほしい!」という疾病をピックアップしています。
試験勉強にぜひお役立てください。
脳卒中
脳卒中は大まかに分けて脳梗塞と脳出血があります。
遺伝的素因や生活習慣が発症にかかわりがあるとされ、メタボリックシンドロームや喫煙などでリスクが増大します。一度発症すると3年以内に10~15%が再発すると言われています。
過去5年のケアマネジャー試験では、すべての年で選択肢として何らかの出題がありました。
脳梗塞
脳梗塞には次の3つの種類があります。
疾患 | 種類 |
---|---|
脳梗塞 | ラクナ梗塞 アテローム血栓性脳梗塞 心原性脳塞栓症 |
ラクナ梗塞
脳内の細い血管が詰まり発生する脳梗塞です。
症状が目立たないことが多く、緩やかに複数箇所で発生することもあります。
高血圧や動脈硬化が主な原因です。
認知症の原因にもなります。
アテローム血栓性脳梗塞
脳の太い血管が動脈硬化となり詰まって発生する脳梗塞です。
前兆として、片側の手足の痺れや脱力感、呂律が回らなくなるなどがあります。
心原性脳塞栓症
心臓で発生した血栓が血流によって脳に運ばれて詰まり発生する脳梗塞です。
症状や前兆はアテローム血栓性脳梗塞と同じようなものが現れることがあります。
発症原因に心房細動のような不整脈が関わっていると言われています。
脳出血
脳出血には脳内出血と、くも膜下出血の2つの種類があります。
出血する場所が違います。
症状は頭痛や嘔吐、吐き気、手足の痺れなどがあります。
くも膜下出血は死亡率が高く、前兆がほとんどないことも多いです。発症すると突然激しい頭痛に襲われます。
後遺症
脳卒中の後遺症には、次のようなものがあります。
片麻痺
傷ついた脳の反対側の身体に麻痺が現れます。
感覚障害
触覚や痛覚などが、鈍くなったり過敏になったり消失したりします。
構音障害
スムーズに喋ることが難しくなります。涎なども垂れやすくなります。
高次脳機能障害
記憶力、理解力、計算力、注意力、計画力が低下したり、感情を抑えることができなくなったり、話そうとしても言葉が出なくなったり(失語)と多様な症状があります。
このほかにも視野狭窄や嚥下障害、認知症などが後遺症として挙げられます。
また小脳出血の場合、平衡感覚に後遺症が現れやすいと言われています。
パーキンソン病
パーキンソン病は、脳の神経細胞が変性したり消失したりして発生する疾患です。
過去5年のケアマネジャー試験では令和2年度と令和4年度に選択肢として出題されています。
2年に1回程度の出題頻度であるため、令和6年度試験では出題に警戒が必要です。
症状
パーキンソン病は特徴的な運動症状が現れます。
具体的には次のようなものがあります。
・歩行障害 … 歩行開始時の最初の一歩が出にくい、小刻み歩行、突進歩行
・振戦 … 身体が震える。手指に多くみられる。
・筋固縮 … 筋肉がスムーズに動かなくなる。
・無動 … 動作が遅くなる。表情に乏しくなる。
このほかにも、症状としては認知症状などがあります。パーキンソン病患者のおよそ40%が認知症を発症すると言われています。
治療方法
薬物療法がメインです。
運動療法も機能訓練として行われます。歩行訓練等は転倒のリスクが大きいため、見守りや介助等をしながら行う必要があります。禁止するのは推奨されません。
パーキンソン病の臨床的重症度分類
パーキンソン病はヤールの重症度分類で症状の進行度合いを評価します。
ステージはⅠ~Ⅴに分かれており、数字が大きいほど症状が進行している状態です。
ケアマネジャー試験では、ヤール分類のステージ別の状態について問われる可能性は低いため現状は覚えなくても問題ないと思われます。
一応覚えておきたいという方は、こちらのwebサイトの解説が分かりやすいのでおすすめです。
また厚生労働省の生活機能障害度という分類もあります。
余談ですが、ヤール分類ステージⅢ以上かつ生活機能障害度がⅡ以上では、医療保険による訪問看護の適用となります。
細かいポイントなので出題される可能性は低いと思いますが、念のため覚えておいても良いかもしれません。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)
骨格筋が徐々に痩せていき力が出せなくなる疾病です。
一方で視力や知覚、内臓機能や認知機能は保たれるのが特徴です。
ALSによる筋肉の痩せや筋力低下は、運動療法では回復が見込めません。
だからといって運動療法が行われないわけではなく、残存機能の維持のために積極的に行われます。
ケアマネジャー試験では2、3年に一度の頻度で選択肢として出題されています。
進行性核上性麻痺
パーキンソン病に似た運動障害を主とした症状が現れる疾病です。
転倒が多くなり、また早い段階から認知機能の低下や眼球運動の障害が現れることが多いとされています。
誤嚥にも注意が必要となります。
パーキンソン病よりも進行が早い場合が多いです。
薬物療法や運動療法が主な治療となります。
ケアマネジャー試験での出題頻度は高くありませんが、その症状について選択肢として出題されたことがあるため押さえておきましょう。
確認テスト
問1 高次脳機能障害では注意力が低下したり、失語が見られたりする。
問2 脳の左側で脳出血を発症すると、左側の身体に麻痺が後遺症が現れる。
問3 脳卒中の予防にメタボリックシンドロームの改善は有効である。
問4 パーキンソン病では運動療法による機能向上が期待できない。
問5 パーキンソン病の重症度分類として、ヤール分類がある。
問6 ALS(筋萎縮性側索硬化症)では早い段階から認知機能の低下がみられる。
まとめ
ここまでケアマネジャー試験勉強で絶対に覚えてほしい脳・神経系の疾病について解説しました。
特に試験上、症状や治療について問われる可能性がある重要な疾病は次の4つです。
・脳卒中
・パーキンソン病
・ALS(筋萎縮性側索硬化症)
・進行性核上性麻痺
その出題の多くは医学系の資格でいう「総論」にあたる知識ですが、しっかり押さえておかないと足元を掬われかねません。
まずはこの記事で解説した内容を押さえ、試験本番での失点を防ぎましょう。
皆さまがケアマネジャー試験に合格できるよう、祈願しております。