ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)を独学で合格するために必ず用意しておきたいのが、試験対策テキストです。
試験範囲が明確でわかりやすいため、内容を理解するために購入を考える人も多いでしょう。
しかし、ケアマネジャー試験対策テキストは多くの出版社から出版されており、どれを選べばいいか悩んではいませんか?
この記事では、テキストの特徴やその比較を解説して、ケアマネジャー試験に臨む人がどのテキストを購入すればいいかの悩みを解決していきます。
ぜひ自分に合ったテキストを見つけ、試験合格に繋げてください。
ケアマネジャー試験とは
ケアマネジャー試験とは、正式名称「介護支援専門員実務研修受講試験」のことを指し、毎年10月に各県で実施されています。
問題の出題は介護支援分野から25問、保健医療分野から20問、福祉サービス分野から15問出題されます。
近年の平均合格率は20%前後ですが、難易度は特別高いわけではありません。
出題方式は五肢複択形式で、5つの選択肢から2〜3つ正しい選択肢を選びます。
合格基準点は難易度によって毎年変化します。
介護支援分野25問で正答率70%前後、保健医療・福祉サービス分野35問で正答率70%前後が合格の基準です。
どちらか(介護支援分野または保健医療・福祉サービス分野)が合格基準点に達していても、もう一方が合格基準点に達していなければ不合格となるため注意してください。
ケアマネジャー試験対策テキストは買うべき?
難易度が特別高い試験ではないものの、介護保険法および制度に関する知識は必ず必要となります。
多くの受験者は介護・医療の実務に携わっていますが、法制度の知識や自身が従事する介護サービス以外の知識は不十分であることも少なくありません。
そのため独学で合格を目指すならば1冊は用意することをおすすめします。
特に試験対策テキストと過去問は、知識のインプット及びアウトプットに非常に役立ち、合格に近づく可能性が高まります。
この記事では試験対策テキストを主に紹介していきます。
テキストの選び方
ケアマネジャー試験対策テキストを選ぶにあたって、必ず押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
1.内容の充実度
ケアマネジャー試験対策テキストは、ページ数や大きさが書籍によって様々です。
なかには試験範囲の細かい内容が不足し、1冊だけでは内容の理解が不十分に感じるものもあります。
特に試験範囲の基礎的な知識をテキストで得たい場合、内容の充実度は重要な要素となるため、必ずチェックしましょう。
2.理解しやすい工夫があるか
テキストを選ぶ際には、そのテキストに読者が理解しやすいよう工夫がされているかも重要なポイントと言えます。
テキストによっては、図や表がまとめられていたり、過去に出題された内容が分かるようになっていたりと、様々な工夫がされているものもあります。
また、調べたい単語があったときも″索引″があればすぐにそのページを確認することができるため、索引の有無も確認しておくことをおすすめします。
3.出版年度
ケアマネジャー試験対策テキストは毎年出版されていますが、基本的に最新のものを選ぶことをおすすめします。
介護保険法は3年に1回改正されるため、タイミングによっては古い情報が記載されている場合もあります。
例えば、令和6年の介護報酬改定に伴い、居宅介護支援事業所も介護予防支援の指定を受けることができるようになります。
令和5年に出版されたテキストの内容では、介護予防支援の指定を受けることができるのは、「介護予防支援事業所(地域包括支援センター)」だけと記載されているため、この情報は令和6年では誤りとなっています。
このような古い情報を誤ってインプットしないよう、最新版のテキストを選ぶようにしましょう。
各ケアマネジャー試験対策テキストの特徴
ここからは各ケアマネジャー試験対策テキストの特徴についてそれぞれ紹介していきます。
やや辛口で評価してますので、それぞれ比較し、テキストを選ぶ際の一助になればと思います。
この記事では次の7冊のテキストをご紹介しています。
書籍名 | 出版社 | 値段 | ページ数 | 大きさ |
---|---|---|---|---|
ケアマネジャー試験ワークブック2024 | 中央法規 | 3,520円 | 504ページ | B5サイズ |
2024年版ケアマネジャー速習レッスン | ユーキャン | 2,860円 | 460ページ | B5サイズ |
ケアマネジャー合格テキスト2024 | 晶文社 | 4,400円 | 517ページ | A4サイズ |
2024年版ケアマネジャー完全合格テキスト | 翔泳社 | 2,860円 | 437ページ | B5サイズ |
1テーマ10分!サクッとわかるケアマネ試験スタートブック | 中央法規 | 1,650円 | 199ページ | A4サイズ |
ゼロからスタート!2024年度版馬淵敦士のケアマネ1冊目の教科書 | 角川文庫 | 1,650円 | 221ページ | A4サイズ |
合格への近道 ケアマネジャーをめざす人の本′24年版 | 成美堂出版 | 1,210円 | 207ページ | A4サイズ |
ケアマネジャー試験ワークブック2024
ケアマネジャー試験対策テキストの定番!丁寧な解説と分かりやすい構成に定評。
Amazonで販売されているケアマネジャー試験対策テキストのなかで最も買われているテキストです。
- 2024年の法改正の要点が冒頭に記載
- 満遍なくまとめられており、過去問で出題のあった内容はほぼ網羅している
- 各章終わりに一問一答がある
- 各章ごとに学習の重要度が明確化されている
- ページが大きい分、図や表が読みやすい
- ページ端には用語の解説やワンポイントなどの記載あり。過去に出題のあった点もチェックしてある
- 各章のなかでも、見出しが多くあり要所要所の区切りが明確でよい
- 索引に多くの単語が登録されており、調べたい内容のページがどこにあるか分かりやすい
- 各サービスの主な加算なども記載してある。
- ソーシャルワークとケアマネジメントの内容が弱く、難易度が高い問題に対応しきれない
- 2024年度法改正の内容が若干不足気味
- 統計問題に非常に弱く、テキストだけではまず対応できない
- 持ち運びが重い
総評
人気に裏打ちされた分かりやすい文章構成、図や表のバランス、ポイントの解説と、ケアマネジャー試験に初めて挑むなら用意したい一冊です。
まさにテキスト一冊目に相応しい内容ではありますが、ソーシャルワークやケアマネジメント、統計問題に弱い印象があります。
また、2024年度法改正の内容が若干物足りないように感じました。
統計問題自体は出題難易度が高いものの出題頻度は低いため、別資料で確認するのがよいでしょう。
持ち運びには大きさ、重さ的にやや不向きなので自宅や机のある環境での使用がおすすめです。
また、次に紹介するユーキャンの速習レッスンよりも図や表がシンプルで見やすいです。
2024年版ケアマネジャー速習レッスン
中央法規のケアマネジャー試験ワークブックとよく比較されるのが同書。
ページ数は約40ページほど少ないものの、内容に遜色はほぼありません。
今回紹介する試験対策テキストの中で個人的に最もおすすめです。
- 2024年の法改正の要点が記載
- 過去5年の出題傾向が早見でき、非常に分かりやすい
- 各章終わりに一問一答がある
- 各章ごとに学習の重要度が明確化されている
- 各年の法改正の内容の記載がありわかりやすくまとめられている
- ページが大きい分、図や表が読みやすい
- ページ端には用語の解説やワンポイントなどの記載あり。過去に出題のあった点もチェックしてある
- 各章のなかでも、見出しが多くあり要所要所の区切りが明確でよい
- 索引に多くの単語が登録されており、調べたい内容のページがどこにあるか分かりやすい
- 各サービスの主な加算なども記載してある
- ソーシャルワークや相談、ケアマネジメントの解説、今後出題されそうなポイントが載っている
- 公表すべき情報も詳細に記載あり
- 大きく重いため持ち運びづらい
- 統計のボリュームが少なく、統計問題にはやや力不足
総評
1番人気の中央法規のワークブックと比較しても内容に大きな差がないものの、価格が安く、内容量とコスパを考慮すると個人的に最もおすすめのテキストです。
筆者は中央法規のケアマネジャー試験ワークブックで試験勉強をし合格しましたが、内容を吟味したところ、速習レッスンで勉強していても同じ点数を取れていたと感じました。
試験のデータや2024年法改正の記載が充実しており、最新の試験への対応力はトップクラスと思われます。
統計に関する記載が少ないため、統計問題には対応しきれないかと思われます。
持ち運びには大きさ、重さ的にやや不向きなので自宅や机のある環境での使用がおすすめです。
ケアマネ試験に向けての一冊目として最適ですが、やや過小評価されている印象です。
ケアマネジャー合格テキスト2024
ケアマネジャー試験の問題集に定評がある晶文社から出版されている試験対策テキスト。
外出先でも読みやすいサイズながら、ページ数が多く内容はとても充実しています。
文章構成が硬く、「〜である」「〜だ」といった表記であるため、専門書を読み慣れている人にとっては馴染みやすいと思われます。
- 構成がシンプルかつ情報量の充実度No.1
- 統計データが充実しており、この一冊だけでも統計問題に対策できる。
- 索引に多くの単語が登録されており、調べたい内容のページがどこにあるか分かりやすい。
- 試験の出題傾向や学習の進め方なども記載されている。
- ページ端には用語の解説やワンポイントなどの記載あり。
- リハビリテーションに関する記載がどのテキストよりも豊富
- 全体的に内容が豊富だが、特に保健医療サービス分野についての記載が他テキストよりも圧倒的に充実している。
- 文章中心で図が少なく、内容を理解しづらい。
- ページ端のワンポイントが文字が小さいうえに行数が多いものも多く、読み疲れる。
- 法制度に関する表記が正確だが、分かりやすさが重視されていないため読みづらく理解しにくい。
- 公表制度などの重要ポイントの内容が甘く、近年の出題傾向を完全に捉えられていない印象。
- 2024年度の法改正の内容は記載されているが、原文のままで理解しづらい。これならweb上で原文を読むのと何ら変わりない。
- 2023年度末に完全に廃止となる介護療養型医療施設の記載が未だにあり、最新の試験傾向に対応していない。
総評
文字量が多いため内容は充実しており、この記事で紹介しているテキストの中では最も情報量が多いです。
そのため試験対策テキストの一冊目におすすめです。
ただ保健医療分野の記載が「この細かい部分、出題される?」と感じることもあり、やや情報過多のように感じました。ケアマネジャー試験が仮に今後難化した場合、この一冊で対応できるかもしれません。
全体的に試験内容を網羅しているものの、上手にまとめられていない印象を受けました。先に紹介した二冊よりも、試験に出題されやすいキーワードが分かりづらいです。
文字がとにかく多いため、専門書を読み慣れている人にとっては学習に苦労しないかもしれませんが、そうでない人にはあまりおすすめできません。
2024年版ケアマネジャー完全合格テキスト
持ち運びに便利な大きさで充実した内容が特徴の試験対策テキスト。
章の終わりごとに一問一答問題が掲載されていたり、過去に出題された内容がチェックしてあったりと、内容を理解しやすい工夫が随所にされています。
- 各章の終わりに理解度をチェックする一問一答が掲載されている。
- コンパクトなので持ち運び便利。電車内でも読むことができるサイズ。
- 各章ごと試験の頻出度の記載があり、重要な箇所が分かりやすい。
- 各ページ端に用語解説が記載されており、内容の理解に役立つ。
- 高齢社会の現状に関する記載では、詳細なデータがいくつかあり、統計問題に対してもある程度対応可能。
- 各章の最初に押さえるべきポイントが記載されていて、覚えるべき箇所が分かりやすい
- 各サービスの加算に関する内容が読みやすい
- ソーシャルワークとケアマネジメントに関する記載が他テキストより詳細で、難易度が高い問題に対応しやすい。
- 過去試験に出題された選択肢であろう文章が記載されているものの、正解の記載がないため都度調べなければならない。やや不親切に感じた。
- テキストが小さい分、文章がギュッと詰まってるページもあり、読んでいて疲れる。
- 特に低所得者対策と包括支援センターに関するページは個人的にとても読みにくい。
- 公表すべき情報の詳細の記載がなく、最新の出題にはやや対応不足
- 訪問介護の生活援助で算定できないものの例が不足気味。
- 索引が圧倒的にボリューム不足。調べたい単語が索引に載っていないことのほうが多い。
総評
他テキストよりも内容が濃い箇所があり、一冊目の試験対策テキストとして使用できる情報量ではあるものの、先に紹介した3つのテキストよりも、試験に出題されやすい細かい部分の内容の不足が目に付きました。
また、過去問の記載や索引、文章の記載の仕方など、痒いところに手が届いていない印象が強いです。
先に紹介した三冊よりも持ち運びに便利な大きさであるため、交通機関での移動時の学習にもおすすめです。
ただ、同じ価格帯にユーキャンの速習レッスンがあるため、どうしても見劣りしてしまいます。
1テーマ10分!サクッとわかるケアマネ試験スタートブック
各章2ページ構造で読みやすい一冊。10分程度で1章を読み終わるので隙間時間での学習にも便利です。
図や表も多く、視覚的にも理解しやすい嬉しいテキストです。
- 淡いカラー、丸みのあるフォントでダントツで読みやすい。
- 図が親しみやすいデザイン
- 非常に軽く、持ち運びに便利
- 隙間時間で勉強に最適
- 過去問の一問一答が各章終わりに1〜2問掲載されている
- 各ページの学習に要する時間なども記載されており、勉強時間にメリハリがつけやすい
- 2024年度の介護保険法改正についても記載がある
- 詳細な内容は不足している。
- 難易度の高い問題や統計問題には対応できない
- 加算などの記載なし
- 索引がないため分からない単語や制度等がテキストで調べづらい
- 長い文章が苦手な人が読むと、図や表のページだけで覚えようとする恐れがある
総評
2024年の法改正にも対応しており、内容が非常に理解しやすまとめられています。
しかしページ数からも分かるように内容量が不足しており、重要なポイントだけがまとめられています。細かい点を問われる難しい設問に対応することが難しく、単独で試験対策テキストとして使用するには力不足といった印象。
持ち運びに便利な上、理解しやすい構成なので、仕事の合間や外出先でのちょっとした学習に使用するような「二冊目のテキスト」といった使い方におすすめです。
ゼロからスタート!2024年度版馬淵敦士のケアマネ1冊目の教科書
中央法規が運営する「けあサポ」でコラムやメッセージの寄稿、受験対策講座を行なっている馬淵氏によるケアマネジャー試験対策テキスト。
テキストの問題集が一体となった書籍も別途販売されていますが、テキスト部分の内容に大きな差はないため今回はテキスト単体のものを紹介しています。
左ページに文章、右ページに図やポイントの解説という構成です。
- 試験範囲についてだけでなく、詳細な学習方法も載っている
- 他のテキストにはない、カラー付きのページ
- 各ページごとに試験の出題されやすさが記載されている
- 保険医療分野の図が非常にわかりやすい
- 左に文章がぎゅっと詰まっているため、視覚的に読み疲れる
- 長い文章が苦手な人が読むと、図や表のページだけで覚えようとする恐れがある
- 索引がないため分からない単語や制度等がテキストで調べづらい
- 右ページにはポイントが記載されているものの、特に試験に出題されやすいポイントが不明瞭
- 2024年の法改正内容が不足
- 過去試験に出題されたようなポイントの未記載がやや目立つ。加算なども載っていない。
- 難易度の低い問題には対応できるものの、高い問題に対しては厳しい印象。
総評
一冊目の教科書とタイトルで銘打っていますが、個人的には一冊目としては力不足感が否めません。
ページ数の少なさのためか詳細な内容が不足しており、特に介護・医療系サービスの細かいポイントや加算を問われるような設問に対応することが難しいです。
また、webページのような文章構成で学習初心者でも理解しやすいよう書かれている反面、学習慣れしている人にとってはかなり冗長に感じるかもしれません。
「テキストっぽさ」が少ないです。この点は評価が分かれると思われます。
持ち運びに便利な上、理解しやすい構成なので、仕事の合間や外出先でのちょっとした学習に使用するような「二冊目のテキスト」といった使い方におすすめです。
一冊目には個人的におすすめしません。
合格への近道 ケアマネジャーをめざす人の本′24年版
ケアマネジャー試験対策テキストのなかではかなり値段が安い一冊。他のテキストと内容がやや異なり、学習方法や学習のポイント、必要な教材などの紹介を占める割合が大きいです。
勉強に不慣れな人でもどのように学習を進めていけばいいか分かりやすい一冊です。
また文章構成も独特で、1ページに2列の構成で、「〜である。」「〜だ。」のような論文調です。
- 学習のポイントが序盤に記載されている
- 学習方法や必要な教材なども記載されている
- 各年の介護保険法改正のポイントが非常に分かりやすい
- 2024年介護保険法改正についても記載がある
- 試験に特に重要となるチェックポイントが後半にまとめて記載。誰にでも重要なポイントがわかりやすい。
- 正直、余計な情報も多い
- 2列構成に慣れていない人は読みづらい
- ポイントは解説されているものの、詳細な内容は不足気味
- 図が少なく、文章が苦手な人には不向き
- 索引がないため分からない単語や制度等がテキストで調べづらい
総評
他テキストと比較すると試験範囲の内容量が少なく、読者の理解を助けるような工夫も少ないため、難易度の低い問題には対応できるものの、高い問題に対しては厳しいという印象です。
過去問や実践問題を解いていて、分からない単語などが出てきてもこのテキストには載っていないことも多いかもしれません。
また、文末に「!」を度々使用しているのが気になりました。テキストとしての文章としてやや不自然に感じる人も一定数いるかもしれません。
買うとしたら二冊目がオススメです。試験対策テキストの一冊目には不向きだと思われます。
まとめ
ここまでケアマネジャー試験対策テキストを7つご紹介しました。
どのテキストも特徴があり、それを把握することが自身に合ったテキストを選ぶことに繋がります。
自身のニーズに合ったテキストで勉強を行うことができれば、ケアマネジャー合格に大きく近づくことでしょう。
皆様が試験に合格できるよう、祈願しています。
\ ケアマネでまんねんが模試を始めました! /