介護保険の審査請求や介護保険審査会についてのケアマネ試験対策

この記事の学習優先度は”やや高い”です。

介護保険制度では、利用者が介護保険審査会に対して不服申し立ての審査請求を行うことができます。
ケアマネ試験にもたびたび出題されていますが、似たような単語も多く、覚えにくい試験範囲の1つです。

この記事では審査請求や介護保険審査会の概要について、分かりやすく解説していきます。

介護保険制度では、被保険者は次のことに対して不服がある場合には審査請求(不服申し立て)を行うことができます。

  1. 要介護認定について不服がある場合
  2. 被保険者証の交付請求に関する処分に対して不服がある場合
  3. 保険料の滞納処分について不服がある場合
  4. 介護保険料の徴収に不服がある場合
  5. 受給した給付に関して不服がある場合

ポイントは、審査請求は被保険者が行うものであるということです。事業所や基金、団体が行うことはできません。

審査請求を行う相手

審査請求は、都道府県が設置する介護保険審査会に対して行います。
介護保険審査会は中立性・公平性が保たれており、都道府県知事などの指揮を受けて審査が行われることはありません。

審査請求の流れ

審査請求の大まかな流れは次の通りです。

STEP
市町村からの処分が被保険者に対して行われる

要介護認定や介護保険料の滞納に関する処分などが被保険者に対して行われます。

STEP
被保険者が介護保険審査会に審査請求を行う

市町村からの処分に不服がある場合、被保険者は介護保険審査会に審査請求を行います。この審査請求は文書または口頭で行います。

STEP
介護保険審査会が裁決を行う

被保険者から受理した審査請求の裁決を概ね3ヶ月以内に行います。

審査請求とは別に、被保険者が審査請求の対象となる処分の取り消しを裁判で訴える場合、介護保険審査会の裁決が出た後でなければならないとされています。
ただし3ヶ月経っても介護保険審査会の裁決が出ていない場合には、裁決が無くても訴えることができます。

やぴぃ

ここまでがケアマネ試験で重要なポイントだよっ!とりあえず覚えちゃおっ

審査請求や介護保険審査会に関するケアマネ試験での出題は、実はそこまでバリエーションがありません。
ここまでまとめた内容だけでも、9割ポイントが抑えられています。

ここから先は近年のケアマネ試験では出題が見られないポイントであるため、余裕があれば学習を進めてみてください。

介護認定審査会を構成するメンバーは次の通りです。

介護保険審査会のメンバー
  • 被保険者代表委員 3人
  • 市町村代表委員 3人
  • 公益代表委員 3人以上

審査会のメンバーは非常勤の地方公務員扱いとなります。そのため守秘義務が課せられています。
都道府県知事がメンバーを任命します。その任期は3年です。
また、介護保険審査会の会長は公益代表委員から選挙で選ばれます。

このメンバーで審査請求の裁決するわけですが、審査請求の種類によって裁決に参加するメンバーが違います。

審査請求の種類裁決を行うメンバー
要介護認定に関する審査請求都道府県の条例で定める数の公益代表委員からなる合議体
それ以外・会長
・介護保険審査会で指名された会長以外の公益代表委員2人
・被保険者代表委員3人
・市町村代表委員3人
からなる合議体

覚えにくい場合、要介護認定に関する審査請求は公益代表委員だけ、それ以外は全員と覚えるとラクラクで覚えられます。

また、合議体を構成するメンバー以外に専門調査員というポジションがあります。
専門調査員は要介護認定に関する処分に関する審査請求を迅速に処理するために設置されます。
保健・医療・福祉の学識経験者から都道府県知事によって任命されます。

審査請求に関する設問の出題は過去6年間の試験(第22回再試験を含む)では、4回ありました。
実際にどのような出題があったか確認してみましょう。

第26回試験

介護保険審査会への審査請求が認められるものとして正しいものはどれか。2つ選べ。

1 介護支援専門員の資格に関する処分

2 指定居宅サービス事業者の指定取消に関する処分

3 財政安定化基金拠出金への拠出額に関する処分

4 要介護認定に関する処分

5 被保険者証の交付の請求に関する処分

解答をみる

正解 4、5

第26回介護支援専門員実務研修受講試験 問16

第23回試験

介護保険審査会への審査請求が認められるものとして正しいものはどれか。2つ選べ。

1 要介護認定に関する処分について不服がある被保険者

2 介護報酬の審査・支払について不服がある介護サービス事業者

3 保険料の滞納処分について不服がある被保険者

4 財政安定化基金拠出金への拠出額について不服がある市町村

5 居宅介護支援事業者から支払われる給与について不服がある介護支援専門員

解答をみる

正解 1、3

第23回介護支援専門員実務研修受講試験 問14

第22回再試験

介護保険法の審査請求について正しいものはどれか。2つ選べ。

1 介護保険審査会が指名する委員で構成する合議体で審査を行う。

2 保険給付に関する処分又は保険料その他介護保険法の規定による徴収金に関する処分は、審査請求の対象となる。

3 介護保険審査会は、都道府県知事の指揮監督の下で裁決を行う。

4 介護保険審査会の専門調査員は、介護支援専門員のうちから任命される。

5 居宅介護支援の契約解除は、審査請求の対象となる。

解答をみる

正解 1、2

第22回介護支援専門員実務研修受講試験再試験 問14

第22回試験

介護保険審査会への審査請求が認められるものとして正しいものはどれか。3つ選べ。

1 被保険者証の交付の請求に関する処分

2 市町村特別給付に関する処分

3 国民健康保険団体連合会が行う介護報酬の請求に関する審査

4 特定入所者介護サービス費の支給に関する処分

5 介護給付費・地域支援事業支援納付金に関する処分

解答をみる

正解 1、2、4

第22回介護支援専門員実務研修受講試験試験 問14

審査請求に関する出題は、圧倒的に「審査請求が認められるもの」についての出題が多いです。そのためこのポイントは最優先で覚えましょう。

第22回試験以前の試験でも審査請求に関する設問は度々出題されていますが、基本的に出題パターンも選択肢も定型的です。そのため過去問だけの学習で問題ない可能性が高いです。

ここまで審査請求に関するケアマネ試験対策のポイントについて解説しました。
審査請求が認められるものについては特に出題が多くみられるため、しっかりと学習を進めていきましょう。

稀に介護保険審査会を構成するメンバーであったり、介護保険審査会の概要に関する選択肢も出題されるため、余裕があればそちらも覚えておきましょう。

このポイントに関してはテキストよりも過去問を解いて勉強を進めたほうが、効率よく試験対策を行うことができるかもしれません。

皆さまがケアマネジャー試験に合格できるよう、祈願しております。

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この記事を書いた人

ケアマネでまんねん運営者
主に問題の作成と解説作成担当。
ケアマネジャー試験の独学による学習をサポートし、みなさんが最短で合格するため、実践問題や一問一答、解説について書いています。