この記事の学習優先度は”高い”です。
正直な話、居宅介護支援についてのケアマネ試験のポイント解説記事は作成しようか悩んでいました。
だってみなさんこう考えていませんか?
居宅介護支援はあまり勉強しなくたって点数取れちゃうじゃんっ!
たしかに居宅介護支援は介護支援分野の「得点が取りやすい4大ポイント」の1つとして、毎年多くの受験生から得点をもぎ取られています。
しかし、侮るなかれ。居宅介護支援にも難易度が比較的高いポイントが存在します。
この記事では居宅介護支援のなかでも「難易度が高めなポイント」だけにフォーカスを当てて解説をしていきます。
※ケアマネ試験に出題の多いポイントには触れていない部分も多いため、予めご了承ください。
複数の事業所を紹介しなければならないという義務はない
多くの受験生が引っかかりやすいのですが、居宅介護支援事業所のケアマネは利用者に対して複数の事業所を紹介しなければならないという義務はありません。
たまにローカルルールでこのような義務が暗黙的にあるようですが、定められている基準にはこのような義務は記載されていません。
運営基準にはこのように定められています。
指定居宅介護支援事業者は、指定居宅介護支援の提供の開始に際し、あらかじめ、利用者又はその家族に対し、居宅サービス計画が第一条の二に規定する基本方針及び利用者の希望に基づき作成されるものであり、利用者は複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることができること等につき説明を行い、理解を得なければならない。
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第4条の2
居宅介護支援事業者が行うのは「利用者は複数の居宅サービス事業者を紹介することを求めることができることを、説明し理解を得る」までです。そのため利用者から求めがなければ、居宅介護支援事業者は自ら複数のサービス事業者を紹介する義務はありません。
介護予防支援事業者でもこれは同様です。
訪問介護を一定回数以上居宅サービス計画に位置付ける場合
居宅サービス計画に生活援助中心の訪問介護を一定回数以上位置づける場合、居宅サービス計画に「訪問介護が必要な理由」を記載し、市町村に届け出なければなりません。
今後ケアマネ試験で受験生が引っかかりそうな選択肢を想定するとしたら、こんな感じでしょうか。
問 厚生労働大臣が定める回数を超える生活援助中心型の訪問介護を、居宅サービス計画に位置づけてはならない。
この制度は、利用者の自立支援や重度化防止が目的であって、サービスの利用制限を行うものではないという点は念頭に置いておきましょう。
また厚生労働大臣が定める具体的な回数は、試験で問われる可能性はかなり低いと思います。念のために掲載だけしておきますが、現状の出題傾向では覚えなくてもいい数字です。
要介護1 | 27回 |
---|---|
要介護2 | 34回 |
要介護3 | 43回 |
要介護4 | 38回 |
要介護5 | 31回 |
またこれに関連して、区分支給限度基準額に対して訪問介護の利用割合が多いと市町村から居宅サービス計画の届出を求められることがあります。この場合も届出の対象です。
短期入所系サービスの利用日数
短期入所生活介護、短期入所療養介護を居宅介護サービス計画に位置付ける場合、原則としてその利用期間は要介護認定有効期間の概ね半数を超えないようにしなければなりません。
ただし利用者の状況に応じて必要と認められる場合には、認定有効期間の半数を超えて位置付けることが可能です。
その場合には居宅サービス計画及び必要書類を市町村に届ける必要があります。
オンラインモニタリングの解禁
2024年度から居宅介護支援のオンラインモニタリングが解禁となりました。
これにより、利用者宅を訪問しなくてもテレビ電話等の通信機器を用いてモニタリングを行うことができるようになりました。
ただしすべてをオンラインモニタリングに置き換えることは認められておらず、2回に1回以上は利用者宅を訪問してモニタリングを行わなければなりません。
つまり、要介護者は2ヶ月ごとに1回、要支援者は6ヶ月ごとに1回、利用者宅を訪問してモニタリングを行います。
なおオンラインモニタリングを行う場合でも、毎月モニタリングの結果の記録は行わなければなりません。
居宅介護支援費は要介護度によって異なる
居宅介護支援の介護報酬についての設問および選択肢は、近年ではほとんど出題されていません。
そのため見落としがちですが、試験の傾向は突如として変わるため、居宅介護支援費は要介護度によって異なるという点だけは覚えておいてもいいかもしれません。
厳密には、「要介護1,2」と「要介護3~5」で居宅介護支援費が異なります。
身体拘束NG
既に受験生はご存じかもしれませんが、居宅介護支援事業者でも身体拘束NGが2024年度介護報酬改定で「指定居宅介護支援の具体的取扱方針」に追加されました。
そのため2024年度からは、「介護サービス情報の公表制度における居宅介護支援に係る公表項目」に身体拘束等の排除のための取組の状況が追加される可能性があります。
第24回試験で選択肢として出題のあった箇所であるため、過去問で勉強を進めている人は要注意です。
もっとも、第27回試験ではまず出題されないポイントなので、今はあまり気に留めなくてもいいかもしれません。
記録
介護支援経過という単語を受験生の皆様はご存じでしょうか。
ケアマネの実務上の記録とは、大きく分けて2つあります。それがモニタリング記録と介護支援経過です。
各出版社のケアマネ試験対策テキストでも、実務研修でもこの介護支援経過についてはあまり触れることがありません。
しかし実務上は非常に、本当に非常に重要です。介護支援経過の記録の不備は介護報酬の返還に直結するため、ケアマネへの転職が決まり次第真っ先に勉強すべき内容です。
令和6年度第27回試験では、普段あまり触れられない介護支援経過についての選択肢が出題されており、今後は出題も増えるかもしれません。
以下が居宅介護支援事業所の介護支援経過についての重要な点です。
- 時系列で誰もが理解できるように記載する。
- 明らかに提供した居宅介護支援と関係のない苦情に関しては、記録する義務はない。
- モニタリングを通じて把握した内容については、モニタリングシートに記録していれば重複しての記載は不要。
- 居宅サービス計画の「軽微な変更」の根拠や加算の算定根拠を、客観的で適切に簡潔な表現で記載する。
繰り返しになりますが、記録はケアマネの実務で非常に重要となりますので必ず優先して覚えておきましょう。
まとめ
ここまで居宅介護支援に関する比較的難易度の高いポイントについて解説してきました。
サービス担当者会議やモニタリング、アセスメントや運営基準と比べると出題頻度は低めですが、選択肢としての出題歴があったり今後出題が見込まれる重要なポイントです。
そのため勉強に余裕ができたら覚えておくことをオススメします。
皆さまがケアマネジャー試験に合格できるよう、祈願しております。