介護サービス事業者の指定、ケアマネ試験の出題ポイント

この記事の学習優先度は”高い”です。

介護サービス事業者や施設は市町村長や都道府県知事の指定を受ける必要があります。

指定に関する出題は出題頻度が高く、令和6年度第27回ケアマネ試験でも出題されています。しかし近年の出題傾向はやや易化がみられ、要点を押さえておけば点数が採りやすいポイントの1つです。

この記事では、指定に関するケアマネ試験の出題ポイントを解説しています。

都道府県知事の指定市町村長の指定
居宅サービス地域密着型サービス
介護予防サービス地域密着型介護予防サービス
介護保険施設居宅介護支援
介護予防支援

居宅サービスと地域密着型サービスの区別が付けられる必要がありますが、簡単な覚え方は地域密着型ケアマネが市町村長の指定です。

指定期間

事業者、施設の指定や許可の効力は6年間です。そのため業務を継続するためには6年ごとに更新が必要となります。

指定をしてはならない事由

次の事柄に該当する場合、市町村長及び都道府県知事は指定や許可をしてはならないとされています。

  1. 申請者が条例で定める者でないとき
  2. 条例で定める人員基準を満たしていないとき
  3. 設備基準及び運営基準に従って適正な運営をすることができないと認めるとき
  4. 地域密着型サービスなどの指定の申請にあたって、事業所が市区町村の区域外にあり所在地市町村長の同意を得ていないとき
  5. 申請者が禁固以上の刑に罰せられ、執行中の者、または執行猶予中の者であると認められるとき
  6. 申請者が介護保険法や保健医療福祉に関する法律、労働に関する法律で罰金以上の刑に罰せられ、罰金をまだ支払っていない者または執行猶予中の者であると認められるとき
  7. 指定取消を受けて、その取消しの日から起算して5年経っていない者であるとき
  8. 申請者が指定の申請前5年以内に居宅サービス等に関して不正や不当な行為をした者であるとき
やぴぃ

引っ掛け問題みたいな出題はほとんどないけど、取消や不正を受けた場合5年間は指定を受けられないってことは覚えておこうっ!

指定をしないことができる事由

指定をしてはならない事由とは別に、指定をしないことができる場合があります。

  • 居宅サービスが都道府県介護保険事業支援計画の見込み量に達しているとき
  • 地域密着型通所介護が市町村介護保険事業計画の見込み量に達しているとき
  • 認知症対応型共同生活介護等の利用定員の総数が市町村介護保険事業計画に定める必要利用定員総数にすでに達しているとき
やぴぃ

このほかにもあるみたいだけど、ケアマネ試験に出題されやすいのはここらへんだよっ

指定の取消

市町村長や都道府県知事は次の事由に該当する事業者の指定の取り消しや、指定の効力の一部またはすべてを一時的に停止することができます。

  • 指定に係る欠格事由に該当したとき
  • 人員基準違反となったとき
  • 設備・運営基準に従って適正な運営ができなくなったとき
  • サービス費の不正請求を行ったと認められたとき
  • 帳簿の提出や報告の命令に従わないときや、虚偽の報告を行ったとき

市町村は、事業者が指定の取消の要件に該当すると認められたときには都道府県知事に通知しなければならないとされています。

みなし指定

みなし指定とは、申請をしなくても指定を受けているとみなされる指定に関する特例のことをいいます。

医療機関や保険薬局、介護老人保健施設や介護医療院がみなし指定の対象となっています。以下の表が、事業者や施設が指定を受けているとみなされるサービスです。

事業者、施設みなし指定
病院
診療所
訪問看護
訪問リハビリテーション
通所リハビリテーション
居宅療養管理指導
短期入所療養介護(療養病床がある場合のみ)
介護老人保健施設
介護医療院
訪問リハビリテーション
通所リハビリテーション
短期入所療養介護
保険薬局居宅療養管理指導

また、介護予防サービスについても同様です。

共生型サービスの指定

一部の居宅サービスについては、児童福祉法の指定または障害者総合支援法の指定を受けている事業者は、都道府県の条例で定める基準を満たしていると指定を受けることができます。

また、ケアマネ試験では問われにくいですが、一部の居宅サービス事業者は児童福祉法または障害者総合支援法に基づく事業所の指定を受けることができます。

スクロールできます
居宅サービス指定障害福祉サービス
訪問・訪問介護・居宅介護
・重度訪問介護
通所・通所介護
・地域密着型通所介護


・生活介護
・自立訓練(機能訓練・生活訓練)
・児童発達支援
・放課後等デイサービス
通所リハビリ・(介護予防)通所リハビリテーション・自立訓練(機能訓練)
宿泊・短期入所生活介護・短期入所
訪問・通所・宿泊の一体サービス・(介護予防小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護


・生活介護
・自立訓練(機能訓練・生活訓練)
・児童発達支援
・放課後等デイサービス
・短期入所

注意したいのが、通所リハビリと小規模多機能型サービスについては、障害福祉側の事業者は共生型サービスの指定を受けることができません。出題される可能性は低いですが、一応覚えておきましょう。

公募指定

地域密着型サービスのうち、次のサービスは市町村長は公募指定を行うことができます。

  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護
やぴぃ

認知症対応型共同生活介護を公募している自治体もあるけど、介護保険法第七十八条の十三によると公募指定の対象外だから注意してねっ!

居宅介護支援および介護予防支援の指定

居宅介護支援や介護予防支援の指定は市町村長が行います。
令和6年度より、介護予防支援の指定は居宅介護支援事業者も受けることができるようになった点は覚えておきましょう。

また、居宅サービスとは若干異なる指定の取消事由も設けられています。

  • 介護保険法第81条第6項の義務違反
  • 認定調査結果の虚偽の報告
  • 居宅介護(介護予防)サービス計画費の不正請求

これらは指定の取消や指定の効力の停止の事由となります。

介護保険施設の指定

正式には介護老人福祉施設は指定、介護老人保健施設と介護医療院は許可です。すべて都道府県知事が行います。

介護老人福祉施設

特別養護老人ホーム以外指定を受けることはできません。
特別養護老人ホームを開設できる者は次の通りです。

  • 市町村
  • 地方独立行政法人
  • 社会福祉法法人

介護老人保健施設および介護医療院

介護老人保健施設や介護医療院を開設できる者は次の通りです。

  • 地方公共団体
  • 医療法人
  • 社会福祉法人
  • その他厚生労働大臣が定める者

余談ですが、営利を目的とする者に開設許可をしないことができると定められており、株式会社が許可を得るにはかなり高いハードルがあります。

事業所、施設の指定に関する出題は過去7年間のケアマネ試験で5問出題されています。
以下が過去の試験に出題された問題です。一部法改正によって不適切問題となっているため、問題文を改変しています。

問題7 市町村長が指定する事業者が行うサービスとして正しいものはどれか。3つ選べ。

1 居宅介護支援

2 通所介護

3 認知症対応型共同生活介護

4 介護予防短期入所生活介護

5 介護予防支援

解答をみる

正解 1,3,5

( ケアマネジャー試験 令和6年度(第27回) 介護支援分野 問題7)

問題8 共生型サービスの指定の対象となる介護保険サービスとして正しいものはどれか。4つ選べ。

1 地域密着型通所介護

2 介護予防短期入所生活介護

3 通所リハビリテーション

4 訪問介護

5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

解答をみる

正解 1,2,3,4

( ケアマネジャー試験 令和3年度(第24回) 介護支援分野 問題8一部改正)

問題9 都道府県知事が指定する事業者が行うサービスとして正しいものはどれか。2つ選べ。

1 特定福祉用具販売

2 認知症対応型共同生活介護

3 介護予防支援

4 介護予防短期入所療養介護

5 看護小規模多機能型居宅介護

解答をみる

正解 1,4

ケアマネジャー試験 令和3年度(第24回) 介護支援分野 問題9

問題9 指定介護老人福祉施設について正しいものはどれか。3つ選べ。

1 入所定員は、20人以上である。

2 市町村や社会福祉法人は、設置することができる。

3 施設サービス計画に基づき介護福祉施設サービスを行う。

4 都道府県の条例で定める員数の介護支援専門員を有しなければならない。

5 管理者は、原則として医師でなければならない。

解答をみる

正解 2,3,4

ケアマネジャー試験 令和元年度(第22回再試験) 介護支援分野 問題9

問題5 指定居宅サービス事業者の指定について正しいものはどれか。3つ選べ。

1 共生型居宅サービス事業者の指定は、市町村長が行う。

2 居宅サービスの種類ごとに行う。

3 6年ごとに更新を受けなければ、効力を失う。

4 申請者が都道府県の条例で定める者でないときは、指定をしてはならない。

5 都道府県介護保険事業支援計画の見込量に達しているときは、指定をしてはならない。

解答をみる

正解 2,3,4

ケアマネジャー試験 令和元年度(第22回) 介護支援分野 問題5

過去問をみてわかるように出題頻度が高く、出題形式も多彩であるため過去の試験で出題された内容を基本とし、出題されたことのないような形式にも対応できるようインプットを進めておくことをオススメします。

指定に関して最も難易度が高かった出題は、令和元年度第22回試験の問5かと思われます。もっとも、引っ掛け問題のような形式は現在の出題形式と異なるため、そこまで意地悪な設問に警戒しなくてもいいかもしれません。

ここまでサービス、施設の指定に関するケアマネ試験対策のポイントについて解説しました。

指定に関しては、この記事にまとめている内容で5~6割程度。より深く勉強しようとすると沼に嵌るポイントであるため、特に試験に出題されやすいポイントに絞って解説しています。

より詳細な内容は介護保険法やケアマネ試験対策テキストに記載されていますので、勉強に余裕があればよろしければご参照ください。インプットが不十分なうちはあまりお勧めはしません。

皆様がケアマネジャー試験に合格できるよう、祈願しております。

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この記事を書いた人

ケアマネでまんねん運営者
主に問題の作成と解説作成担当。
ケアマネジャー試験の独学による学習をサポートし、みなさんが最短で合格するため、実践問題や一問一答、解説について書いています。

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