この記事の学習優先度は”高い”です。
ケアマネジャー試験の出題分野の1つである保健医療サービスの知識等では、毎年複数の疾病の内容について問う選択肢の出題があります。
この記事では、過去の試験に出題された内容に基づき、出題傾向と照らし合わせて「コレだけは絶対に覚えてほしい!」という骨・関節疾患のポイントをピックアップしました。
試験勉強にぜひお役立てください。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨の質量が低下し、骨折しやすい状態となる疾患です。
閉経後の女性に多いとされており、エストロゲンの分泌減少が大きく関係すると言われています。
また、日光を浴びないような生活を送っていたり、運動不足、栄養不足も骨粗鬆症を発症する一因となります。
骨粗鬆症の人は、怪我などした記憶がなくても骨折していたという、いわゆる「いつのまにか骨折」のリスクが高く、腰椎などで見られることが多いです。
腰が曲がったり身長が低くなるなどの見た目の変化が現れることもあります。
ただ、骨折に至るまで骨粗鬆症の自覚症状がほとんどない場合が多く、骨折で受診してから骨粗鬆症と診断されることも珍しくありません。
「骨折を伴う骨粗鬆症」は特定疾病に含まれます。
変形性関節症
変形性関節症は、関節にある軟骨が摩耗し関節が変形する疾患です。高齢者に多く、運動時に痛みが現れたり夜間に痛みや腫れが現れたりします。
変形性関節症のうち特に多い部位が、膝関節と股関節です。
「両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症」は特定疾病に含まれます。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は変形性関節症のなかで最も多い疾患です。膝の曲げ伸ばしなどで痛みが現れます。重症化すると安静時にも痛みが現れたり歩行が難しくなったりもします。
原因としては加齢が挙げられますが、肥満やX脚、O脚などの遺伝的素因や生活習慣が発症リスクを大きく高めることが知られています。
そのため体重の減量や生活習慣の改善などが、症状の緩和に効果が期待できます。
また重症化していない段階では、筋力トレーニング等によって症状が改善することもあります。
変形性股関節症
変形性股関節症は、2番目に多い関節症です。
運動時痛が主な症状ですが、椅子からの立ち上がりや歩き始めにも痛みが現れることが多くみられます。
股関節を大きく曲げるときに痛みが現れやすく、和式トイレの使用が困難となることもあり、洋式トイレへの住宅改修などが検討されます。
原因は膝関節症と同様、加齢が挙げられます。こちらも肥満やX脚、O脚などの遺伝的素因や生活習慣が発症リスクを大きく高めることが知られています。
関節リウマチ
関節リウマチは、原因が不明の自己免疫疾患です。手指の変形が最も目に見える形で現れるため、手指の疾患と誤解されやすいですが全身疾患です。
関節リウマチも特定疾病の1つです。
症状
症状としては次のようなものがあります。
- 左右対称の関節の変形、疼痛、腫れ
- 朝の関節のこわばり
- 関節の熱感
関節リウマチでは、身体の左右どちらにも症状が現れやすいです。
また、日中や夜よりも朝の起床時に関節がこわばりやすく、曲げ伸ばしがしづらくなります。
症状が進行すると、関節の不安定の増大や頸椎破壊による四肢麻痺なども見られることがあります。
治療や対策
治療は薬物療法と運動療法等のリハビリテーションを組み合わせて行われることが一般的です。
関節破壊による症状が強いと手術が適用となります。
負荷の強い筋力トレーニングなどは症状を悪化させることもあり、リハビリテーションには塩梅が重要となります。
関節を冷やすと症状の悪化につながるため、日常生活時には身体の保温ができるような工夫が必要となります。
また、買い物袋など重いものを手先で持たないように注意が必要です。
発症の傾向
詳細な発症原因は不明であるものの、30代~50代の女性が発症しやすいと言われています。
女性の発症率は男性の4倍です。
このため、高齢者の関節リウマチ患者は罹患歴が長い傾向が見られます。
脊柱管狭窄症
脊柱管が狭くなることにより脊髄が圧迫され、様々な症状が現れる疾患です。
特に腰部に多いですが、頸部や胸部にも発症することがあります。
脊柱管狭窄症も特定疾病に含まれています。発症部位は限定されていません。
症状
症状としては、腰痛や下肢の痛みや痺れが挙げられます。
また特徴的な症状として間欠性跛行があり、歩いていると徐々に足にしびれや痛みが現れるものの休憩すると症状が軽快します。
重症化すると排尿障害も起こることがあります。
対策
脊柱を逸らす姿勢は禁忌とされ、神経の圧迫を招きます。
症状を和らげるために若干前屈みで日常生活を送ったり、同じ姿勢を長時間続けないような工夫が必要です。
腰部や胸部の脊柱管狭窄症では杖の使用も効果的です。
大腿骨頸部骨折
高齢者の下肢の骨折で最も多いのが大腿骨頸部骨折です。
多くの場合、転倒により発生します。
骨粗鬆症を発症していると、発生リスクが高まります。
治療や予防
大腿骨頸部骨折は、自然治癒を目指すと長い期間臥床することになり、廃用症候群や認知症の発症などのリスクが高まります。そのため患者の強い希望が無ければ基本的には手術が第一に選択されます。
手術後は早ければその翌日からリハビリテーションが開始されます。
予防には骨粗鬆症の治療や転倒のリスク軽減が有効です。ヒッププロテクターの装着も効果的です。
高齢者に多い骨折
大腿骨骨折には、頸部骨折以外にも骨幹部骨折や遠位端骨折などもありますが、高齢者に多いのは頸部骨折であることに注意しましょう。
高齢者に多い骨折は他にも次のようなものがあります。
- 大腿骨頸部骨折
- 橈骨遠位端骨折
- 上腕骨近位端骨折
- 脊椎圧迫骨折
後縦靭帯骨化症
脊柱にある後縦靭帯が骨化することにより、脊髄を圧迫し神経症状が現れる疾病です。
頸椎に最も多いですが、腰部や胸部でも発症します。
圧迫されている箇所によって、しびれなどの症状の現れる部分が違います。頸椎での発症が多いため、手のしびれや感覚の鈍麻、手指の巧緻性の低下などが見られることが多いです。
40歳以上の男性に多いとされています。
脊柱管狭窄症と同様、逸らす方向の動きは症状の悪化を招く恐れがあります。
特定疾病に含まれており、また、指定難病の1つでもあります。
確認テスト
問1 骨粗鬆症の予防には、運動や日光浴が効果的である。
問2 関節リウマチの症状の多くは左右非対称に現れる。
問3 変形性膝関節症の発症リスク要因に肥満がある。
問4 腰部脊柱管狭窄症では腰部の前屈で症状が悪化することが多い。
問5 大腿骨骨幹部骨折は高齢者の下肢で最も多い骨折である。
まとめ
ここまでケアマネジャー試験勉強で覚えておきたい骨・関節疾患のポイントについて解説しました。
特に試験に出題されやすい疾患は次の6つです。
- 骨粗鬆症
- 変形性関節症
- 関節リウマチ
- 脊柱管狭窄症
- 大腿骨頸部骨折
- 後縦靭帯骨化症
特に骨粗鬆症は過去6年間の試験で6回(令和元年度再試験を含む)選択肢として出題されており、力を入れて学習すべきポイントです。
過去6年間の疾患別試験の出題頻度はこちらのページで紹介してるよっ
また上記の疾患はいずれも第2号被保険者の要介護認定の条件である特定疾病に関連するものであるため、出来るだけ覚えておきましょう。
皆さまがケアマネジャー試験に合格できるよう、祈願しております。