2024年現在、日本の高齢化社会はますます進行し、介護の重要性が増しています。
この中で、介護支援専門員、通称ケアマネジャーの役割は非常に大きいです
ケアマネジャーは、高齢者やその家族が適切な介護サービスを受けるためのケアマネジメントを行います。しかし、現在のケアマネジャー資格は国家資格ではなく、都道府県による認定資格です。
一部ではこの状況を変え、ケアマネジャーを国家資格化しようとする動きが見られます。
この記事では、ケアマネジャーの国家資格化がもたらすメリットとデメリットや、賃金が上がるかについて詳しく解説します。
※本記事にはプロモーションを含みます。
現在のケアマネジャー資格制度
現在のケアマネジャー資格は、都道府県が実施する試験に合格し、一定の実務経験を持つ者に与えられます。
しかし、この制度には統一された基準がないため、質のばらつきや地域差が問題視されています。
これを解決するために、ケアマネジャー資格を国家資格化する提案がなされています。
ケアマネジャーの国家資格化の予定は?
2024年現在、ケアマネジャーの国家資格化に関する議論は度々界隈をにぎわせていますが、現時点で具体的な国家資格化の予定はありません。
国家資格化には様々な利点がある一方で、複雑な課題も存在するため、慎重な検討が必要です。
一方で、国家資格の名称を列挙している2003年に政府が閣議決定した答弁書によると、「介護支援専門員」も明記されているため、政府の認識としても曖昧な位置づけの資格であることが窺えます。
ケアマネジャー国家資格化のメリット
ケアマネジャーの資格が国家資格化することにより生じるメリットは、次の3つが挙げられます。
1. 質の向上と均一化
現状ではケアマネジャーの実務研修は都道府県ごとに行われており、実施形態も異なります。
そのため、研修の質に地域差が生じていることが一部では指摘されています。
国家資格化により、全国統一の教育カリキュラムが導入される可能性があるため、ケアマネジャーの質の均一化が期待できます。
これにより、どの地域でも一定水準のケアマネジメントが提供されるようになるかもしれません。
2. 社会的地位の向上
国家資格を持つことで、ケアマネジャーの社会的地位が向上します。
これは、ケアマネジャーとしての誇りやモチベーションの向上にもつながり、結果としてサービスの質の向上も期待できます。
3. 資格の認知性向上
国家資格化により資格の認知性が向上し、現状よりも多くの人材がケアマネジャーに流入しやすくなることが期待されています。
既に深刻な人材不足が叫ばれており、今後さらに深刻化することが予想されているため、人材の流入は早急に対策すべき課題の1つです。
ケアマネジャー国家資格化のデメリット
一方で、ケアマネジャーの資格が国家資格化することによってデメリットも生じることが考えられます。
こちらは2つ挙げてみました。
1. 資格取得のハードルの高さ
国家資格化に伴い、試験の難易度や資格取得に必要な要件が厳しくなる可能性があります。
これにより、新たにケアマネジャーを目指す人が減少し、人手不足が深刻化する恐れがあります。
ただし、現状では受験の要件を緩和する方向で動きが見られるため、国家資格化してもこの点は楽観的に見てもいいかもしれません。
2. コストの増加
国家資格化には、試験実施や教育カリキュラムの整備などに多大なコストがかかる可能性があります。
また、資格取得者の給与引き上げなども必要となり、介護サービス全体のコストが上昇する可能性があります。
実際のところ、国家資格化についてはコスト面は大きな課題でしょう。
そのしわ寄せは、実務研修や更新研修の費用として我々が被る可能性は低くないかと思われます。
国家資格化すると賃金が上がる?
ケアマネジャーの国家資格化が実現すれば、現在の賃金や待遇が改善するとの期待の声も聞かれますが、基本的にまずないと考えていいかもしれません。
それは国家資格化しても、おそらくケアマネジャーの業務に大きな変化は生じないためです。
都道府県の認定資格から国家資格化した資格の1つに柔道整復師がありますが、国家資格化してもその業務に大きな変化はありませんでした。
また企業側の視点では、業務に大きな変化が無ければケアマネジャーが国家資格化したところで社員としての価値は全く変わりません。
そのため賃金を上げる理由がありません。
賃金が上がるとすれば居宅介護支援費の単位の増加や、ケアマネジャー配置要件の厳格化、業務の規制緩和などでしょうが、少なくとも国家資格化と賃金の上昇はあまり関係がないかと思われます。
ケアマネジャーの賃金は介護保険に依存しているから上がりにくいんだよねっ…。担当件数も上限があるし…
賃金だけならケアマネジャーよりも介護職の方が高いことは珍しくありません。
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おわりに
ケアマネジャーの国家資格化は、介護サービスの質の向上と均一化、社会的地位の向上、資格の信頼性向上など、多くのメリットがあります。
しかし、資格取得のハードルの高さ、コストの増加、過渡期の混乱などのデメリットも存在します。これらの課題を克服するためには、政府や関係機関の綿密な計画と支援が不可欠です。
なお、現時点では政府内でのケアマネジャーの資格の立場が曖昧であり、今後の介護業界の動き次第では明確に国家資格として位置づけられる可能性もあります。
ただ現在は国家資格化の具体的な予定はなく、今後の動向を注視する必要があります。
2024年現在、日本の高齢化社会は深刻な問題として直面しています。ケアマネジャーの国家資格化は、その解決の一助となる可能性がありますが、その実現には多くの努力と調整が必要です。利用者とケアマネジャー双方にとって最良の結果をもたらすために、今後の動向に注目し、適切な対応が求められます。
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