皆さんは居宅介護支援事業所の求人票、出ていたらその事業所を介護サービス情報公表システムで調べていますか?求人票の情報だけでは、その事業所の中身が見えない場合も少なくありません。
求人票だけでは分からない事業所の情報は意外と多く、その一つが所属するケアマネジャーの人数です。
求人票に記載されている場合もありますが、記載がないことも珍しくありません。
ただこれは、初めてケアマネとして働く方には必ず確認してほしい情報です。
そして、ケアマネ未経験者の方に一つ、声を大にして伝えたいことがあります。
悪いことは言わない。絶対に、在籍するケアマネの人数が多い居宅介護支援事業所を応募先に選ぶべき。
在籍人数は多ければ多いほどいい。筆者はそう考えています。
なぜそこまで人数にこだわるのか。
この記事では、ケアマネ未経験者が就職先を選ぶ際に、事業所の在籍人数を重視すべき理由について詳しく解説していきます。
先輩ガチャ・同僚ガチャという考え方
ケアマネに限らず、転職先の人間関係は誰もが気になるところじゃありません?
どのような人が上司や先輩になるのか。一緒に働く同僚とはうまくやっていけるのか。
ましてや未経験の職種に挑戦する場合、職場の人間関係は働きやすさだけでなく、その後のキャリアにも大きな影響を与えます。
もちろん、大半の職場では常識的な社会人が働いているはずです。しかし、どの職場にも一癖ある人や、どうしても自分とは相性が合わない人がいる可能性はあります。
ここで、一つ考えてみてください。
次の2つの職場では、どちらのほうが働きにくいと感じるでしょうか。
- 職場A: 従業員15人のうち、癖の強い人が2人いる
- 職場B: 従業員3人のうち、癖の強い人が1人いる
おそらく、多くの人は職場Bを選ぶのではないでしょうか。
職場Aであれば、相性の合わない人がいても、ほかの同僚と関わりながら仕事を進めることができます。
一方、職場Bでは、たった1人との人間関係が職場全体の居心地を左右しかねません。
では、これをケアマネ未経験者の立場に置き換えてみましょう。
仕事で分からないことがあったとき、気軽に相談できる先輩が複数いる職場と、限られた先輩にしか相談できない職場。
もし、その先輩が相談しづらい人だったらどうでしょうか。
ケアマネ未経験者にとって、相談相手を選べるかどうかは非常に重要です。
もちろん、人数が多ければ必ず人間関係に恵まれるわけではありません。しかし、人数が少ない職場ほど、一人ひとりとの人間関係が仕事に与える影響は大きくなります。
いわゆる「先輩ガチャ」「同僚ガチャ」は、就職や転職において避けては通れない問題です。
それならば、たまたま相性の悪い先輩や同僚に当たってしまったときの影響を、できるだけ小さくできる職場を選ぶべきではないでしょうか。
そのための最も分かりやすい判断材料の一つが、在籍するケアマネの人数なのです。
転職後の早期退職、その最大の理由は人間関係?
転職先での人間関係は、単に働きやすさを左右するだけではありません。場合によっては早期退職につながるほど深刻な問題にもなります。
実際に、ウェブココル株式会社が2023年に実施した、転職後1年以内に退職した300人を対象とするアンケート調査では、退職理由の第1位が「人間関係が良くなかった」でした。
その回答数は158人。実に早期退職者の52.7%が、人間関係の悪さを退職理由として挙げているのです。
もちろん、これはケアマネだけを対象とした調査ではありません。しかし、転職先の人間関係が、その後の職業人生に大きな影響を及ぼし得ることは十分に読み取れるでしょう。
そして、人間関係というものは、実際に働き始めてみなければ分からない部分が多いものです。
だからこそ未経験からケアマネを始めるのであれば、相性の悪い先輩や同僚がいたとしても、ほかに頼れる人がいる職場を選ぶべきだと私は考えています。
事業所に在籍するケアマネの人数が多いことは、人間関係の問題を回避するための保証にはなりません。しかし、問題が生じた際の選択肢を増やすことにはつながります。
これは、筆者が未経験者に対して、在籍人数の多い居宅介護支援事業所を強くおすすめする理由の一つです。
他のケアマネが退職した場合の影響も分散できる
ケアマネの在籍人数が多い事業所を選ぶべき理由は、ほかにもあります。
その一つが、ほかのケアマネが退職した際に発生する、担当利用者の引継ぎ負担を分散できることです。
例えば、次の2つの職場を比較してみましょう。
- 職場C: あなたを含めてケアマネが4人の事業所。要介護34件、要支援10件を担当するケアマネが退職する。
- 職場D: あなたを含めてケアマネが10人の事業所。要介護34件、要支援10件を担当するケアマネが退職する。
どちらも、退職するケアマネの担当件数は合計44件です。
職場Cでは、この44件を残された3人で引き継ぐ必要があります。単純計算で、1人当たり約15件の増加です。
一方、職場Dでは、残された9人で引き継ぐことができます。こちらは1人当たり約5件の増加で済みます。
もちろん、実際には各ケアマネの担当件数や業務状況に応じて振り分けるため、均等に引き継ぐとは限りません。
それでも、引継ぎを分担できる人数が多いほど、一人ひとりにかかる負担を小さくしやすいことは間違いないでしょう。
もし、あなたがすでに退職するケアマネと同程度の件数を担当していたらどうでしょうか。
職場Cのような少人数の事業所で、さらに十数件を引き継ぐことになったら……。
私は想像したくもありません。
未経験者でも大量のケースを引き継ぐ可能性がある
ここで、もう一つ想像してみてください。
あなたは未経験からケアマネに転職し、職場Cのような少人数の居宅介護支援事業所に就職したとします。
入職から3か月。まだ業務を十分に習得できておらず、分からないことがあれば先輩ケアマネに質問しながら、何とか日々の業務をこなしている状況です。
そんなある日、先輩ケアマネが交通事故に遭い、突然退職を余儀なくされてしまいました。
すると管理者から、こんなことを告げられます。
あなたはまだ担当件数が少ないから、退職する先輩のケースを25件引き継いでほしい
さて、どうでしょうか。
ようやく仕事に慣れ始めた時期に、突然25件ものケースを引き継ぐことになったら。
しかも、利用者や家族との関係構築、サービス事業所との連携、ケアプランの確認など、引継ぎに伴う業務も一気に発生します。
未経験者にとって、相当な負担になることは想像に難くないでしょう。
実はこれ、単なる作り話ではありません。
私の勤務先の近隣にある居宅介護支援事業所で、実際に起きた出来事です。
もちろん、すべての少人数事業所でこのような事態が起こるわけではありません。
しかし、在籍するケアマネが少ない事業所では、たった一人の退職が、残された職員の業務量を大きく変えてしまう可能性があるのです。
退職だけでなく、突然の休職も考えておくべき
さらに、ケアマネという職種の年齢構成にも注目しておきたいところです。
介護労働安定センターの「令和7年度介護労働実態調査」によると、介護支援専門員の平均年齢は55.1歳です。
ケアマネの高齢化が進んでいることを考えると、定年退職だけでなく、病気やけがによる長期休職なども想定しておく必要があります。
もちろん、こうした事態は年齢に関係なく起こり得ます。
重要なのは、誰か一人が突然働けなくなったときに、その影響を事業所全体でどれだけ吸収できるかということです。
少人数の事業所では、一人の欠員が残された職員に与える影響が大きくなりがちです。
一方、在籍するケアマネの人数が多ければ、担当利用者の引継ぎや一時的な業務の分担について、より多くの選択肢を持つことができます。
特に、まだ十分な経験を積んでいないケアマネにとって、この違いは決して小さくありません。
人が多いということは、単に相談できる相手が多いというだけではなく、予期せぬ欠員が発生した際の負担を分散できるというメリットもあるのです。
だからこそ筆者は、これからケアマネとして働き始める方には、在籍人数の多い居宅介護支援事業所を強くおすすめします。

