介護保険の適用除外施設の覚え方とその概要について

この記事の学習優先度は”低い”です。

介護保険は、第1号被保険者と第2号被保険者に該当する人に対し給付を行います。
ただし、適用除外施設とよばれる施設に入所している人は、介護保険の被保険者となりません。

この記事では、適用除外施設の名称と被保険者とならないケース、ケアマネ試験対策としてのポイントについて解説を行っていきます。

次の10つの施設が介護保険の適用除外施設となります。

適用除外施設
  1. 障害者総合支援法における指定障害者支援施設(生活介護及び施設入所支援の支給決定を受けた身体障害者、知的障害者、精神障害者に限る)
  2. 身体障害者福祉法・知的障害者福祉法における障害者支援施設(生活介護を行う施設であって、知的障害者、身体障害者に限る)
  3. 身体障害者療護施設
  4. 生活保護法における救護施設
  5. 医療型障害児入所施設
  6. 医療型児童発達支援を行う医療機関
  7. のぞみの園法に規定する福祉施設
  8. 労災特別介護施設
  9. 療養介護を行う病院
  10. ハンセン病療養所
やぴぃ

なんだか施設の名称が難しいし覚えづらいよっ…

適用除外施設はケアマネ試験勉強としてすべて覚えようとすると、苦労するポイントの1つです。
特に過去の試験(令和元年度第22回試験)に出題された指定障害者施設に関してはかなり紛らわしいため、適用除外施設一覧を見ただけでは全く覚えられないという人もいるかもしれません。

そのため、理解を深められるようまずは指定障害者施設の適用除外に関して簡単に解説を行っていきましょう。

指定障害者施設の適用除外

指定障害者施設は適用除外施設の1つであることは間違いないのですが、その施設の入所者が介護保険の適用除外となるためには条件があります。

生活介護及び施設入所支援の支給決定を受けた身体障害者、知的障害者、精神障害者に限る

赤字が条件となります。指定障害者支援施設では生活介護施設入所支援の両方の支給決定を受けていなければ、入所者は適用除外とはなりません。

また、指定障害者支援施設と障害者支援施設は異なる点も注意しましょう。

それではここで1つ一問一答問題を出題しましょう。

問1 障害者総合支援法の自立生活援助と施設入所支援の支給決定を受けて、指定障害者支援施設に入所している精神障害者は介護保険の被保険者とならない。

解答をみる

正解 × 生活介護と施設入所支援の両方の支給決定を受けていない場合、介護保険の被保険者となる。

このように生活介護及び施設入所支援の両方の支給決定を受けていなければ、その人は介護保険の適用除外となりません。他の介護給付の支給ではNGです。

実際にこの問題に近い選択肢が過去の試験に出題されているため、このポイントは必ず覚えておきましょう。

適用除外に関する内容は、ケアマネ試験対策に限って言えば、上で解説した指定障害者施設の入所者の条件が最も最難関です。

逆にこれだけ覚えてしまえば、あとは過去の試験で選択肢として出題されている適用除外施設と、適用除外施設ではない施設をチェックするだけです。

正直、適用除外施設を全部覚えなくてもほぼ問題ありません。

なぜそう言い切れるか。理由があります。

適用除外施設の選択肢の使いまわしが多い

過去問をみると分かりますが、適用除外に関する設問では適用除外施設の選択肢の使いまわしが多いです。
実際にどのような適用除外施設が出題されているのか、過去問で確認してみましょう。

65歳以上の者であって、介護保険の被保険者とならないものはどれか。2つ選べ。

1 老人福祉法に規定する養護老人ホームの入所者

2 児童福祉法に規定する医療型障害児入所施設の入所者

3 生活保護法に規定する更生施設の入所者

4 生活保護法に規定する救護施設の入所者

5 児童福祉法に規定する母子生活支援施設の入所者

解答をみる

正解 2,4

第26回介護支援専門員実務研修受講試験 問6

65歳以上の者であって、介護保険の被保険者とならないものとして正しいものはどれか。2つ選べ。

1 老人福祉法に規定する軽費老人ホームの入所者

2 生活保護法に規定する救護施設の入所者

3 生活保護法に規定する更生施設の入所者

4 障害者総合支援法の自立訓練及び施設入所支援の支給決定を受けて、指定障害者支援施設に入所している知的障害者

5 障害者総合支援法の生活介護及び施設入所支援の支給決定を受けて、指定障害者支援施設に入所している精神障害者

解答をみる

正解 2、5

第22回介護支援専門員実務研修受講試験 問3

介護保険の被保険者について正しいものはどれか。3つ選べ。

1 65歳未満の生活保護受給者は、医療保険加入者であっても資格がない。

2 65歳以上の生活保護受給者は、住所がなくても第1号被保険者となる。

3 65歳以上の生活保護受給者は、医療保険加入者であっても第1号被保険者となる。

4 年齢到達による資格取得時期は、誕生日の前日となる。

5 児童福祉法上の医療型障害児入所施設の入所者は、被保険者とならない。

解答をみる

正解 3、4、5

第19回介護支援専門員実務研修受講試験 問12

介護保険の被保険者とならないものはどれか。3つ選べ。

1 生活保護法による救護施設の入所者

2 65歳以上の生活保護受給者

3 児童福祉法による重度心身障害施設の入所者

4 日本国籍を持つが、海外に長期滞在しており、日本に住民票がない者

5 被保険者資格の取得の届出をしていない40歳以上65歳未満の医療保険加入者

解答をみる

正解 1、3、4

第11回介護支援専門員実務研修受講試験 問5

過去16年の試験のうち、適用除外について出題された設問は4問です。
適用除外施設は次のようなものが選択肢として出題されました。

適用除外施設出題回数
生活保護法に規定する救護施設3回
児童福祉法上の医療型障害児入所施設3回
指定障害者支援施設1回

※第11回試験に出題された「重度心身障害施設」は、医療型障害児入所施設と一元化されたため、医療型障害児入所施設とカウントします。)

もともと出題頻度が高いわけではないにもかかわらず、10つある適用除外施設のうち3つしか過去16年の試験では登場していません。

このように選択肢の使いまわしが多く、他の適用除外施設に関する選択肢の出題傾向が低いため、すべて覚えていなくても問題がないことが多いです。

不正解の選択肢にも注目する

適用除外施設に注目する一方で、不正解の選択肢として出題された施設についても確認してみましょう。

適用除外施設ではない施設出題回数
生活保護法に規定する更生施設2回
老人福祉法に規定する〇〇2回
児童福祉法に規定する母子生活支援施設1回

「更生施設」「老人福祉法に規定する〇〇」は不正解の選択肢として複数回出題されている点にも注目が必要です。
この2つを不正解と認識しておくだけでも、正答する可能性が高くなると言えるでしょう。

以上のことから、覚え方としては、「下の表にあるポイントをまず覚え余裕があったら他の適用除外施設を覚える」という方法が、最も効率のいいケアマネ試験対策となります。

適用除外のポイント

① 適用除外施設のうち、出題頻度の高い施設は救護施設医療型障害児入所施設

② 適用除外に関する出題で、不正解のパターンとして出題されやすいのは更生施設老人福祉法に規定する施設

③ 指定障害者支援施設は、生活介護と施設入所支援の両方の給付を受けていないと適用除外とならない

ここまでケアマネ試験対策としての適用除外について解説しました。
実は適用除外に関する設問は、「適用除外施設はどれか」といった出題は過去の試験でほとんどありません。
「被保険者とならないものはどれか」といった設問がほとんどです。そのため適用除外以外の、被保険者とならない要件について把握しておくことが重要です。

出題頻度は低いうえ、2年続けて適用除外に関する設問が出題されることは過去の試験を見てみてもあまりみられません。
そのため令和6年度の試験ではそこまで警戒しなくてもいいかもしれません。

とは言っても出題の可能性はゼロではないため、この記事にまとめた内容だけでも学習しておくことをおすすめします。

皆さまがケアマネジャー試験に合格できるよう、祈願しております。

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この記事を書いた人

ケアマネでまんねん運営者
主に問題の作成と解説作成担当。
ケアマネジャー試験の独学による学習をサポートし、みなさんが最短で合格するため、実践問題や一問一答、解説について書いています。