この記事の学習優先度は”高い”です。
はじめに
小規模多機能型居宅介護はケアマネジャー試験の福祉サービス分野で高い頻度で出題されるポイントの1つです。
看護小規模多機能型居宅介護とはサービス内容が似ていますが、それ以外の居宅サービスと異なる点も多く、覚えるのに苦戦しやすいです。
ここでは小規模多機能型居宅介護について、試験に出題されやすいポイントをまとめて解説を行っていきます。
小規模多機能型居宅介護とは
小規模多機能型居宅介護とは、通いサービスを中心とし、訪問サービスと宿泊サービスを組み合わせたサービスを利用者に提供します。
利用者や家族の状況に合わせて柔軟にサービスを組み合わせて利用することができるのが特徴です。
休業日は設けられておらず、365日24時間サービスを提供しています。
例えば夜間のちょっとした時間の見守りだったり、急な宿泊が必要となった場合でも同じ小規模多機能型居宅介護事業所でサービスを受けることができます。
また小規模多機能型居宅介護は月額定額制ですが、区分支給限度基準額を気にせず利用者の自由にサービスを利用することができるのも特徴の1つです。
ただし小規模多機能型居宅介護の複数登録は認められていません。
過去の試験では「宿泊を中心としたサービス」といった選択肢も出題されたため、通いサービスが中心と必ず覚えておきましょう!
サテライト事業所
サテライト型小規模多機能型居宅介護(サテライト事業所)とは、本体の小規模多機能型居宅介護事業所または看護小規模多機能型居宅介護事業所と密接な連携を行いながら運営される事業所です。
サテライト型事業所は1つの本体事業所につき、2ヶ所まで設置することができます。
指定は本体事業所とは別に受けなければなりません。
本体事業所と自動車等による移動 に要する時間が概ね20分以内(年間通じて)の近距離に設置することとされています。
サテライト事業所に登録している利用者は、本体事業所に空床があれば本体事業所に宿泊することも可能です。
また本体事業所の訪問サービス従業員をサテライト事業所利用者の訪問に充てることが可能です。
このようにサテライト事業所は本体の機能を補うような働きがあります。
登録定員と利用定員
小規模多機能型居宅介護の登録定員は29人以下です。サテライト事業所の場合は18人以下です。
これは1日の利用定員ではないため注意しましょう。
この登録定員によって通いサービスと宿泊サービスの利用定員が異なります。
通いサービス
登録定員 | 利用定員 |
---|---|
25人まで | 登録定員の1/2から15人まで |
26人~27人 | 16人まで |
28人 | 17人まで |
29人 | 18人まで |
サテライト型 | 登録定員の1/2から12人まで |
宿泊サービス
通いサービス利用者の1/3から9人まで。
サテライト型小規模多機能型居宅介護においては1/3から6人まで。
小規模多機能型居宅介護の居宅サービス計画作成
居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当している利用者が小規模多機能型居宅介護の利用を希望した場合、利用中は担当ケアマネジャーが小規模多機能型居宅介護事業所の者に変更となります。
そのため、小規模多機能型居宅介護の利用者の居宅サービス計画は、小規模多機能型居宅介護事業所のケアマネジャーが作成を行います。
小規模多機能型居宅介護計画の作成
小規模多機能型居宅介護計画の作成者はケアマネジャーです。計画作成に携わるケアマネジャーは、小規模多機能がサービス等計画作成担当者研修を修了していなければなりません。
なおサテライト事業所の場合は、ケアマネジャーを配置していない場合があります。その場合は小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修を修了している者が計画作成を行います。
併用できる居宅サービス
小規模多機能型居宅介護利用中の利用者は、特定の居宅サービス以外を受られなくなります。
併用できるサービスは次の通りです。
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・福祉用具貸与
・居宅療養管理指導
なお、上記以外にも事業者の負担により、訪問入浴を併用することが可能です。
ただこれは試験に出題される可能性は低いため、余裕があれば覚えておく程度で差し支えないと思われます。
人員基準
小規模多機能型居宅介護事業所とサテライト事業所では以下の表のように人員基準が異なります。
職種 | 小規模多機能型居宅介護事業所 | サテライト事業所 | ||
---|---|---|---|---|
代表者 | 認知症対応型サービス事業開設者研修修了者 | 本体事業所の代表者 | ||
管理者 | 認知症対応型サービス事業開設者研修修了者。常勤・専従 サテライト事業所や他事業所の管理者および従業者と兼務することができる。 | 本体事業所管理者と兼務可 | ||
通いサービス従業者 | 常勤換算法で3:1 | 常勤換算法で3:1 | ||
訪問サービス従業者 | 常勤換算方法で1人以上 | 1人以上 | ||
夜勤職員 | 時間帯を通じて1人以上(宿泊利用者がいない場合、置かないことができる。) | 時間帯を通じて1人以上(宿泊利用者がいない場合、置かないことができる。) | ||
宿直職員 | 時間帯を通じて1人以上 | 本体事業所からの支援がある場合配置しないことができる。 | ||
看護職員 | 小規模多機能型居宅介護従業者のうち 1人以上(非常勤でも可) | 本体事業所からの支援がある場合配置しないことができる。 | ||
ケアマネジャー | 小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修を修了した者を1人以上 | 配置しないことができる。 |
特に管理者と看護師、ケアマネジャーについては必ず覚えておきましょう!
設備基準
小規模多機能型居宅介護の設備基準は次のようなものが定められています。
食堂および居間 | 機能を十分に発揮しうる適当な広さ |
宿泊室 | 個室の定員:1人 ただし利用者の処遇上必要と認められる場合には1個室あたり2人を定員とすることも可能 個室の床面積:7.43㎡ 個室以外の宿泊室:合計面積一人当たたり概ね7.43㎡以上でプライバシーが確保された構造 |
立地 | 住宅地等のなかに立地 |
サテライト事業所も同様です。
運営基準
小規模多機能型居宅介護事業所の運営基準のうち、特にケアマネジャー試験に出題されやすいものは次の通りです。
基本方針取り扱い | ・利用者の要介護状態の軽減や悪化の防止ができるよう、目標を設定し計画的に行わなければならない。 ・自ら提供するサービスの質の評価を行う。その結果は公表し、常にサービスの質の改善を図らなければならない。 |
具体的取り扱い方針 | ・緊急時を除き、身体拘束その他利用者の行動を制限するような行為を行ってはならない。 ・身体拘束を行った場合には、その態様、時間、その際の利用者の心身の状況、やむをえない理由を記録しなければならない。 ・通いサービスの利用者が登録定員に比べて著しく少ない状態が続いてはならない。 ・登録者が通いサービスを利用していない日には、訪問サービスの提供や電話連絡を可能な限り行う。 |
居宅サービス計画などの書類の交付 | ・登録者が他の小規模多機能型居宅介護事業所の利用を希望した場合、登録者に対して直近の居宅サービス計画、家族状況に関する書類を交付しなければならない。 |
利用料金の受領 | 次の利用料は利用者から受け取ることができます。 ・通常の事業の実施範囲外の利用者に対して行う送迎の費用 ・利用者の選択によって通常の業務の実施範囲外にある居宅に訪問サービスを行う場合に掛かった交通費 ・食事に掛かる料金 ・おむつ代 ・宿泊費 |
介護に関する事柄 | ・利用者の金銭負担によって利用者の居宅やサービス拠点で他の事業者による介護を受けさせてはならない。(併用可能なサービスを除く) ・利用者の食事や家事などは、可能な限り利用者と事業所従業員が共同で行うように努める。 |
定員の遵守 | ・登録定員や、通いサービスと宿泊サービスの利用定員を超えてサービスを提供してはならない。 ただし、利用者の希望によって必要であると認められる場合には一時的に利用定員を超えることが認められています。 また、災害などの緊急時も同様です。 |
社会生活上の便宜 | ・利用者の外出の機会の確保や、利用者の意向を踏まえた社会参加などの継続を支援するよう努めなければならない。 ・利用者が日常生活を送るうえで重要となる行政の手続きなどが本人も家族も困難である場合、利用者の同意を得たうえで代行しなければならない。 ・常に利用者の家族と連携を図り、交流の機会を確保できるよう努めなければならない。 |
協力医療機関の設定 | ・あらかじめ協力医療機関を定めておかなければならない。 ・あらかじめ協力歯科医療機関を定めておくよう努めなければならない。 |
地域との連携 | ・おおむね2ヶ月に1回以上、運営推進会議を開催しなければならない。 ・報告や運営推進会議からの評価や要望、助言は記録して公表しなければならない。 ・運営にあたっては、地域住民やその自発的な活動などと交流を図らなければならない。 ・利用者から苦情があった場合、市町村等から派遣された者に協力するよう努めなければならない。 |
介護報酬
小規模多機能型居宅介護費は、利用者の居住場所と利用者の要介護度によって異なります。
詳細な単位数は試験に出題される可能性が低いため割愛します。
関心がある方はこちらをご覧ください。(※外部リンク)
利用者の利用料は月額定額制です。
加算
小規模多機能型居宅介護では次のような加算が算定できます。
- 認知症加算
- 看護職員配置加算 → 常勤の看護師を1名配置
- 看取り連携体制加算 → 看護師により24時間連絡できる体制を確保している
- 訪問体制強化加算 → 訪問サービスを提供する常勤の従業員を2名以上配置
加算は上記以外にもありますが、試験に出題される可能性は低いため割愛します。
関心がある方はこちらをご覧ください。(※法改正等により情報が古くなっている可能性有)
減算
次のような場合、介護報酬が減算となります。
- 同一建物に居住する利用者にサービスを行った場合
- 定員超過・人員欠如
- 通い、訪問、宿泊サービスの月あたりの提供回数が、登録者1人当たりの平均で週4回に満たない場合
- BCPの未策定
- 高齢者虐待防止措置未実施
介護予防小規模多機能型居宅介護
介護予防小規模多機能型居宅介護は試験に出題されている頻度は少ないです。
そのため、学習は後回しにしてもいいかもしれません。
基本的には人員、設備、運営基準については小規模多機能型居宅介護と同一です。
いくつか異なる点があるため、簡単に紹介していきます。
基本取り扱い方針
- 利用者ができる限り要介護状態にならないよう自立した日常生活を営むことができるよう支援することが目的である
- 利用者の意欲が高まるよう、コミュニケーション方法をはじめ、様々な工夫を凝らして適切な働きかけをおこなう
- 利用者のできる能力を阻害するようなサービスを提供しない
- 介護予防小規模多機能型居宅介護計画に定める目標達成度や利用者およびその家族の満足度などについて常に評価を行う
サービスの具体的取り扱い方針
- ケアマネジャーは、介護予防サービス計画と介護予防小規模多機能型居宅介護計画の作成を行う。
- 介護予防小規模多機能型居宅介護計画に定めたサービス提供開始時から終了までに、少なくとも1回モニタリングを行う。
確認テスト
ここまでが小規模多機能型居宅介護についての解説です。
それではどの程度理解できたか、確認してみましょう。
問1 小規模多機能型居宅介護の利用定員は18人以下である。
問2 宿泊サービス利用時のおむつ代は利用者負担である。
問3 利用者は同時に2つの小規模多機能型居宅介護事業所まで登録することができる
いかがでしたでしょうか。
ケアマネジャー試験を想定した小規模多機能型居宅介護の一問一答を別ページで掲載していますので、よろしければ挑戦してみてください。
小規模多機能型居宅介護はケアマネジャー試験に出題される頻度が高いので、しっかり勉強して理解を深めてくださいっ!