ケアマネジャー試験の勉強を進めていると、「事業者」や「事業所」、「介護保険施設」という言葉を目にすることがあるかと思います。
似ている言葉ですが、意味をそれぞれ理解して区別をつけることができなければ、試験で失点に繋がる可能性もあります。
事業者と事業所、介護保険施設のそれぞれの違いや、実際にどのようなパターンでケアマネ試験に出題される可能性があるか例を交えて簡単に解説していきます。
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介護保険制度における事業者とは
介護保険制度上での事業者とは、「介護サービス事業者」、「指定事業者」を指し、介護サービスを利用者、居住者、入所者、滞在者に対して提供する事業所・介護保険施設を運営する主体のことをいいます。
またこの事業者には基準該当サービスを運営する者である「基準該当サービス事業者」や「相当サービス事業者」も含まれています。
例を挙げると、
指定地域密着型通所介護〇〇〇を運営する「社会福祉法人△△会」
青字が事業所、赤字が事業者です。
事業者には「株式会社」、「社会福祉法人」、「特定非営利団体」、「医療法人」などがあります。
また介護保険制度上で事業者は、下記のように営む介護サービスごとに9つに分類することができます。
- 指定居宅サービス事業者
- 指定介護予防サービス事業者
- 指定居宅介護支援事業者
- 指定介護予防支援事業者
- 指定地域密着型サービス事業者
- 指定地域密着型介護予防サービス事業者
- 介護保険施設
- 基準該当サービス事業者
- 相当サービス事業者
1つずつ、どの事業者がどのような事業所を運営しているのかを解説してしまうと、記事の趣旨から逸れてしまうためこちらの記事では割愛します。
- 介護サービスを提供している施設や拠点の運営者が事業者
- 運営する介護サービス事業所が指定を受けるために申請する者が事業者
- 事業所、介護保険施設を運営する者が事業者
介護保険制度における事業所とは
事業所とは、居宅に居住する要介護・要支援者に対して介護サービスを提供する者を指します。
・居宅介護支援事業所 ○○
・訪問介護 △△
・デイサービスセンター □□
上記のような居宅に住む者に介護サービスを提供している施設や拠点を事業所といいます。
事業所には介護保険施設は含まれていません。
ただし、介護保険施設は同一建物内、敷地内で居宅サービスを運営している場合もあります。
この場合の考え方としては、介護保険施設そのものが事業所ではなく、介護保険施設内にある居宅サービスを運営する部門が事業所となります。
また、事業所の指定の申請をするのは事業者ですが、実際に指定を受けるのは事業所です。
1つ試験に倣った一問一答問題を例に出しましょう。
問 通所介護の指定は、種類ごと、事業者ごとに行われる。
この問題に対してみなさんはどのように答えを導き出しましたか?
問いの答えは×となります。
これは居宅サービス事業所の指定は、種類ごと(通所介護や訪問介護など)、事業所ごとに行われると定められているためです。
つまり、A事業者はB通所介護を既に営んでいるが、新たにC通所介護を開設しようと考えている場合、A事業者はC通所介護の指定を申請しなくてはなりません。
これが先ほどの問題文の通りだと、このようになります。
「A事業者はB通所介護を既に営んでいて、通所介護の指定を受けているため、新たにC通所介護を開設するときも指定の申請は不要である。」
これでは指定は種類ごと、事業所ごとに行われるという決まりと食い違ってしまうため、「指定は事業者ごとに行われる」という文章は誤りとなるわけです。
- 指定を受けるのは事業所
- 介護サービスを利用者や入所者、滞在者に実際に提供するのも事業所
- 事業者は1つだが、事業者が運営する事業所は複数ある場合もある
介護保険施設とは
介護保険施設とは、要介護認定を受けた要介護者が利用することができる居住型の施設です。
介護保険施設には次の3つの施設が含まれます。
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
過去には介護療養型医療施設も介護保険施設に含まれていました。
2024年3月末に完全に廃止となったこの記事では含めていません。
話は変わりますが、実は上記で挙げた3種類以外にも居住型の介護サービスは存在します。
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム)
この2つの施設に居住する要介護者(要支援者)を対象とした介護サービスです。
しかし介護保険施設には含まれていないため注意してください。
先の3つの介護保険施設と後の2つの介護サービスの違いとしては、要支援者の利用を受け入れているか否かが挙げられます。
介護保険施設は原則として要支援者の受け入れはありません。
一方、認知症対応型共同生活介護と特定施設入居者生活介護では、要支援者の利用を対象とした介護予防認知症対応型共同生活介護と介護予防特定施設入居者生活介護があります。
介護予防認知症対応型共同生活介護 | 要支援2から利用可能 |
介護予防特定施設入居者生活介護 | 要支援1から利用可能 |
そのため、ケアマネの試験勉強的には要支援者の受け入れの有無で介護保険施設か否かを判断するのも1つのテクニックです。
- 介護保険施設は、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、3つの施設のことを指す。
- 認知症対応型共同生活介護と特定施設入居者生活介護は介護保険施設に含まない。
まとめ
以上、事業所と事業者、介護保険施設について解説していきました。
それぞれの言葉の指す意味と違いを理解することにより、ケアマネ試験での失点のリスクは減少します。
事業者と事業所の違い、介護保険施設とそれ以外の居住型サービスの違いについては特に試験で重要となるため、しっかりと整理しておきましょう。
皆さまがケアマネジャー試験に合格できるよう、祈願しております。