機能訓練がしたい利用者のデイサービスや通所リハの選び方について

やぴぃ

運動とかリハビリがしたい人ってデイサービスと通所リハどっちがいいんだろっ?

意外とケアマネに知られていない、機能訓練や運動主体のデイサービス(通所介護)や通所リハの選び方。
デイサービスの見学をして回っていると、たまにどう見てもミスマッチな利用者が利用している場面に遭遇することがあります。

実は機能訓練型のデイサービスや通所リハビリは、さらにタイプを細分化できます。
単に機能訓練型デイサービス・通所リハビリといっても、タイプによって向き不向きが異なったりするのです。

これを知らないと、知らず知らずのうちに適していないサービスを利用者に紹介しているかもしれません。
この記事では、機能訓練が必要な利用者に対して、通所系サービスを紹介するための選び方について解説していきます。

やぴぃ

元機能訓練指導員、現ケアマネの視点でこの記事は執筆されていますっ

機能訓練型の通所系サービスには、機能訓練を行う者の配置で次のような型に分類することができます。

リハビリ職配置型

PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)のリハビリ3職種が配置されている型です。
通所リハビリテーション(デイケア)がこれにあたりますが、通所介護(デイサービス)でもたまに見られます。

リハビリ専門職が配置されているため、脳血管疾患後遺症パーキンソン病などの神経系疾患に適切なリハビリを選択できる可能性が高いです。
また、短時間ながら回復期リハビリテーション病棟のような個別でのしっかりしたリハビリを提供する事業所もあります。

この型は疾患によってリハビリのニーズがある人に通所系サービスを紹介する場合に第一選択となりやすいです。
ただし、ニーズと配置されている職種のミスマッチにも注意が必要です。
3職種のそれぞれのリハビリ領域は次のようになっています。

PT

PTの専門領域は機能訓練です。
機能訓練とは、何かを行うために必要となる機能の回復や維持を図ることです。例を挙げると次のようなものがPTの専門となります。

  • 立つ、座る、歩くなどの基本的動作の訓練
  • 拘縮の改善
  • 何かを行うために必要な筋力の向上
  • 心肺機能のリハビリ

OT

OTの専門領域は能力訓練です。
能力訓練とは、わかりやすく説明すると私たちが日常生活で行っている「食べる」「歯磨きをする」「着替える」などの基本的な生活動作の回復や維持を行うことです。
「調理をする」などの応用的な動作も含まれます。
また、精神疾患などの人の「社会適応」のためのアプローチもOTの専門領域です。

ST

STの専門領域は口腔・嚥下機能言語、聴覚、高次脳機能障害の改善です。
PTやOTよりリハビリの対象が限定的ですが、専門性が高く、PTやOTでは代替できないリハビリを行うことが多いです。
介護の現場では配置されている事業所が少ないため、STのいる事業所はかなり貴重です。

事業所のミスマッチ

リハビリ職にはそれぞれリハビリの専門領域があることを簡単に解説しました。
それぞれ専門があるということは、専門外もあるということです。

例えばPTだけが配置されている事業所に、社会適応や生活関連動作のリハビリのニーズを持つ利用者は不向きですし、STが配置されていない事業所に言語のリハビリニーズが強い利用者は、恐らくよりマッチする事業所があります。

リハビリのニーズを持つ利用者だからといって人気のデイケアや機能訓練特化型デイサービスを紹介するのではなく、利用者のニーズとその事業所の配置されているリハビリ職の専門領域が上手くマッチするよう、ケアマネは配慮する必要があります。

東洋医学系資格配置型

機能訓練に重点を置いた半日型デイサービスによくみられるのがこの型です。
この型は事業所ごとの特色が多彩で、個別の運動がメインの事業所もあれば集団での体操がメインの事業所もあります。
なかには個別のベッドでの施術を行っている事業所もあります。

東洋医学系資格のなかでは多くの場合、柔道整復師が配置されています。
たまに1日型デイサービスで個別の施術等に力を入れている事業所では、あん摩マッサージ指圧師が配置されていることもありますが多くはありません。

東洋医学系資格は、どの職種もリハビリの専門職ではないためリハビリのニーズを持つ利用者にはあまり向いていません。しかし現状、脳血管疾患後遺症の利用者が紹介されるなどのミスマッチが起きているのがよくみられるのがこの東洋医学系資格配置型です。

骨折後の利用者であれば柔道整復師のギリギリ範囲ともなり得ますが、彼らは整復や固定などの応急処置が専門領域で、その後のリハビリに関しては自身で勉強していなければ知識がありません。
そのためリハビリに関する最低限の知識を担保できない点には注意が必要となります。

もっとも、身体の知識はある程度担保されているため、運動のニーズ体力向上のニーズを持つ利用者はこの型のデイサービスに上手くマッチすることが多いかと考えられます。

看護師のみ配置型

1日型のデイサービスで、「機能訓練も行っています」と謳っている事業所に看護師のみ配置型は多くみられます。

看護師はリハビリは専門領域ではないため、リハビリのニーズを持つ利用者には不向きです。
特に麻痺や拘縮などで個別のリハビリの必要性が高く、そのリハビリを目的としてデイサービスを利用するといった場合にはあまり勧めるべきではありません。

また、施術や個別の機能向上訓練も得意分野ではありません。
そのためこの型には、パワーリハビリの開始前後のバイタルチェックや見守りに留まる事業所もあります。
運動ニーズや体力向上ニーズは強くないものの、その必要性がある場合は看護師のみ配置型の機能訓練型デイサービスの紹介が望ましいと考えられます。

単に機能訓練を目的とした通所系サービスといっても、事業所ごとに特色があります。
また、配置されている職種によっては利用者のニーズに効果的に働きかけることが難しい場合もあります。

利用者のニーズと事業所を上手くマッチングさせることも、ケアマネに求められる能力の1つです。
そのためには各事業所ごとの機能訓練を行う職種を確認し、利用者に紹介できるように情報収集しておかなければなりません。

ニーズと事業所のミスマッチは、「適切なリハビリを行えば回復する可能性」を潰しかねないため極力回避できるよう注意していきましょう。

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この記事を書いた人

ケアマネでまんねん運営者
主に問題の作成と解説作成担当。
ケアマネジャー試験の独学による学習をサポートし、みなさんが最短で合格するため、実践問題や一問一答、解説について書いています。

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