やぴぃ実務研修修了!さあいよいよ居宅ケアマネだっ!…けど何から覚えればいいんだろう?
居宅ケアマネに初挑戦の人の多くが、「最初何から覚えていけばいいのかわからない」という悩みにぶつかります。
実務研修で学ぶのはケアマネジメントの理念やプロセスであり、具体的な事務作業ではありません。
対利用者・家族とのコミュニケーションには役立ちますが、介護保険制度や他制度の活用、事務手続きといった実務的な側面は、研修ではほとんど触れられないのです。
このため、現場に出た際、「何から手をつけて良いかわからない」といった状況に陥ることが少なくありません。
この記事では居宅ケアマネ2年目の筆者が、1年目に勉強しておいてよかったこと、勉強しておけばよかったと感じたことについてご紹介していきます。
勤務地の市町村特別給付の対象
市町村特別給付、別名:横出しサービス
市町村ごとに給付が異なるため、試験勉強で使用したテキスト類はまるで役に立ちません。給付について把握しておくのはもちろんですが、その対象となる条件については、新規や引継ぎが本格的に動き始める前に覚えてしまっておいたほうがいいです。
理由は「覚えなくても多少問題ないものの、覚えておかないと多少困ることがあるから」です。
大抵は市町村HPにアクセスして把握することが可能なのですが、利用者から「こんなことで困っている」と相談され咄嗟に「こんなサービスがあります!」と話してしまい実は対象外でした…なんてことがたまにあります。
また、覚えていないと毎回市町村HPにアクセスして調べるのが面倒です。それだけで1回につき5分程度の時間の浪費となります。



やぴぃもまだ完全に覚えきってないから、調べるたびにもっと早く覚えておけばよかったって思ってるよっ
担当件数が増えてくると業務中に覚えようとする時間さえ無くなってくるので、できるだけ早い時期に覚えておくことをおすすめします。
軽微な変更
居宅サービス計画には、次の事由に当てはまる場合にはアセスメントやサービス担当者会議などのケアマネジメントの一連の流れを省略することができます。
- サービス提供の曜日変更(一時的、臨時的な場合のみ)
- サービス提供の回数変更(週1回程度の増減)
- 利用者の住所変更
- 事業所の名称変更
- 単なる目標期間の延長
- 福祉用具で同等の用具に変更するに際して単位数のみが異なる場合
- 目標もサービスも変わらない(利用者の状況以外の原因による)単なる事業所変更
- 目標を達成するためのサービス内容が変わるだけの場合
- 担当介護支援専門員の変更(同一事業所内)
ケアマネの仕事をしていればおのずと覚えるものではありますが、軽微な変更に当たらない可能性のある次のような事由のほうを真っ先に覚えておく必要があります。その理由は、先輩ケアマネも勘違いして軽微な変更としている場合があるためです。そのくらいややこしい。
- サービス提供の時間帯の変更
- サービス提供の一時的、臨時的でない曜日変更
- 週2回以上のサービス提供回数変更
- 貸与している特殊寝台附属品のマットレスを床ずれ防止用具に変更
- 貸与している車輪無し歩行器から車輪付き歩行器への変更
1~2は特に要注意です。必ずケアマネジメントの一連の流れを踏まなければならないですが、発生頻度も比較的多いです。特に訪問看護などは事業所の都合で利用時間を変更してほしいといった相談を持ち掛けられることは珍しくありません。
サービス事業所都合でサービス提供の時間帯の変更、曜日の変更が生じた場合でもアセスメント⇒サービス担当者会議は省略できない点は要注意です。
4,5に関しては同じような種類の福祉用具貸与ですが、機能が異なるため利用者のADL等の状態に変化があったとみなされる可能性が高いです。利用者の状態に大きな変化が無いことが、軽微な変更とすることができる大前提であるため、うっかり第2表、第3表を使いまわさないように気を付けましょう。
加算の算定要件
居宅ケアマネとして働いていると、何かの加算を算定する場面に必ず遭遇します。
例えば退院退所加算や入院時情報連携加算は、算定するための要件が複数あるため覚えていないとそれだけで時間のロスに繋がります。調べればすぐに情報が出てくるとはいえ、算定するたびに5分程度の時間をロスしてしまっては効率の良い業務とは言えません。
以下、居宅介護支援事業所とそれ以外事業所の特に覚えておいた方がいい加算についてピックアップしてみました。
| 加算 | サービス |
|---|---|
| 入院時情報連携加算Ⅰ、Ⅱ | 居宅介護支援 |
| 退院退所加算Ⅰイ、ロ、Ⅱイ、ロ、Ⅲ | 居宅介護支援 |
| 初回加算Ⅰ、Ⅱ | 訪問看護 |
できればかかわるサービスの加算は覚えておいた方がいいのですが、特に上記の3つの加算については要件の暗記がほぼ必須です。頻度も高いのと、他の事業者はまず教えてくれません。
訪問看護の初回加算は退院・退所日当日に訪問看護が初回で入るか否かで単位が異なります。訪問看護の初回利用時の利用表や提供表を作成するたびに調べるのでは効率が悪いので、すぐに覚えておいたほうが無難です。



Ⅰは退院・退所当日の初回サービス利用、Ⅱはそれ以外だよっ
インフォーマルサービスとアイテム
週3日人工透析の予定が退院後にあります。ただ本人は認知症で私は日中仕事。鍵を閉めて人工透析に無事行けるか、帰ってきて鍵が開けられるか心配。
筆者のケースでこのような相談が以前ありました。さて、皆さまはどのように解決方法を助言しますか?
筆者と病院関係者は訪問介護による送り出し、迎え入れが良いのではないかと提案しました。家族もそれで一旦了承したものの、後日訪問介護の利用が見送りとなりました。その理由が、
玄関にスマートキーを設置すれば解決できました。費用も一回きりで済みますし。
といったものです。
もちろん転倒リスクの軽減、施錠開錠の安全性は訪問介護の支援のほうが上回っていることでしょう。しかし、家族の選択はそれよりもトータルのコストを重視しました。
これはケアマネや病院の視点では「本当にそれで大丈夫?」と考えがちですが、よくよく考えてみれば生命保険や自動車保険、はたまた食べ放題チェーンのコースメニューまで、私たちは常にそのサービスの最高品質を選択するわけではありません。そのため家族の選択は決して誤りではないのです。
少し話が逸れましたが、要するに利用者や家族の悩みごとの解決には必ずしも介護保険上のサービスが最良の選択ではないということです。居宅サービス以外にも、悩みごとを解決する方法はあります。ただそれは、ケアマネジャー自らアンテナを張り巡らせなければ知ることができません。
支援の幅を広げるためにも、様々なサービスやアイテムの情報を早い段階から収集しておくことをお勧めします。
各サービスの1回あたりの利用料金
ほとんどの利用者は、介護保険上のサービスを利用するにあたりどのくらいの費用が必要となるかを気にします。特に介護保険の認定を新規で受けた人およびその家族ではその傾向が強いです。
居宅ケアマネは利用者のニーズに応えるために様々なサービスを紹介しますが、1回あたりの利用者が支払う料金、月当たり支払う料金については大まかにでも把握していないと結構きついです。
考えてもみてください。私たちが何かのサービスの知識に疎いもののそのサービスを利用したいと考えたとき、担当者に1回あたりの料金を尋ねても明確な反応が返ってこなかったり実際の金額よりも安い金額を告げられていたりした場合、その人に不信感を抱きませんか?
現に様々なサービスの苦情、トラブルに関連するアンケート結果では、料金体系に関する相談が全体の2割以上を占めるものが多いと言われています。
信頼関係の構築を妨げるだけでなく、トラブルにも発展する可能性のある内容であるため、できるだけ早い段階で、各サービスの利用料金についてはある程度把握しておきましょう。
おわりに
居宅ケアマネの実務は、実際のところ多岐にわたります。介護保険制度だけ覚えておけばOKだなんて、基本的にほぼ通用しません。
なぜなら介護保険制度で行えない利用者の支援の部分については、関係各所に繋げることもケアマネの業務に含まれているためです。
担当件数が増えれば増えるほど、新しいことを覚えていくのが億劫になってきます。なるべく早い段階で、ケアマネジャー業務に役立つ情報収集を行ていくことをお勧めします。










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