この記事の学習優先度は”非常に高い”です
既にケアマネジャー試験の勉強を始めている人はご存じかと思いますが、ケアマネジャー試験の試験範囲の1つに福祉サービスに関する内容があります。
出題問題数は15問と、介護支援分野(25問)や保健医療サービス分野(20問)に比べると少ないですが、保健医療分野と合わせて正答率が概ね70%程度に達していないと不合格となる可能性があるため、勉強を疎かにはできません。
しかしこの福祉サービス分野、実は6割以上出題されるポイントが決まっているということはご存知でしょうか?
この記事では、出題がほぼ決まっているポイントとそれらの勉強のコツについて解説していきます。
福祉サービス分野の出題傾向
福祉サービス分野の出題は、ソーシャルワーク及び面接時のコミュニケーションに関する出題が4問、介護サービスに関する出題が8問、関連法制度に関する出題が3問といった構成で出題されるのが例年の傾向です。
これはケアマネジャー試験に大きな変革がない限り今後も続くと考えられます。
このうち、冒頭で述べたように、出題される設問については6割程度”ほぼ”決まっています。
過去5年間の試験の福祉サービス分野で出題された設問についてまとめた表がこちらです。
設問番号 / 試験 | 第26回 | 第25回 | 第24回 | 第23回 | 第22回(再試験) | 第22回 |
---|---|---|---|---|---|---|
問46 | 面接時のコミュニケーション技術 | 面接時のコミュニケーション技術 | 面接時のコミュニケーション技術 | 面接時のコミュニケーション技術 | 面接時のコミュニケーション技術 | 面接時のコミュニケーション技術 |
問47 | ソーシャルワーク | ソーシャルワーク(インテーク面接) | ソーシャルワーク(困難事例) | ソーシャルワーク(困難事例) | ソーシャルワーク(インテーク面接) | ソーシャルワーク |
問48 | ソーシャルワーク | ソーシャルワーク | ソーシャルワーク | ソーシャルワーク | ソーシャルワーク(困難事例) | ソーシャルワーク(個別援助) |
問49 | ソーシャルワーク(集団援助) | ソーシャルワーク(集団援助) | ソーシャルワーク(地域援助技術) | ソーシャルワーク(集団援助) | ソーシャルワーク(地域援助技術) | ソーシャルワーク(地域援助技術) |
問50 | 訪問介護 | 訪問介護 | 訪問介護 | 短期入所生活介護 | 短期入所生活介護 | 訪問介護 |
問51 | 訪問入浴介護 | 通所介護 | 通所介護 | 福祉用具貸与 | 福祉用具 | 通所介護 |
問52 | 通所介護 | 訪問入浴介護 | 訪問入浴介護 | 訪問介護 | 訪問介護 | 訪問入浴介護 |
問53 | 短期入所生活介護 | 短期入所生活介護 | 短期入所生活介護 | 通所介護 | 通所介護 | 短期入所生活介護 |
問54 | 住宅改修 | 福祉用具 | 住宅改修 | 訪問入浴介護 | 訪問入浴介護 | 住宅改修 |
問55 | 小規模多機能型居宅介護 | 小規模多機能型居宅介護 | 夜間対応型訪問介護 | 小規模多機能型居宅介護 | 認知症対応型通所介護 | 認知症対応型通所介護 |
問56 | 認知症対応型通所介護 | 認知症対応型共同生活介護 | 認知症対応型通所介護 | 認知症対応型共同生活介護 | 認知症対応型共同生活介護 | 夜間対応型通所介護 |
問57 | 介護老人福祉施設 | 介護老人福祉施設 | 介護老人福祉施設 | 介護老人福祉施設 | 介護老人福祉施設 | 介護老人福祉施設 |
問58 | 成年後見制度 | 生活保護制度 | 生活保護制度 | 生活保護制度 | 障害者総合支援法 | 生活困窮者自立支援制度 |
問59 | 高齢者虐待防止法 | 成年後見制度 | 生活困窮者自立支援法 | 成年後見制度 | 生活保護制度 | 生活保護制度 |
問60 | 生活保護制度 | 障害者総合支援法 | 成年後見制度 | 高齢者虐待防止法 | 後期高齢者医療制度 | 成年後見制度 |
この表を見ると気付く方もいるかもしれませんが、
- 訪問介護
- 通所介護
- 短期入所生活介護
- 訪問入浴介護
- 介護老人福祉施設
この5つのサービスに関しては、過去5年で出題されていない試験が確認できませんでした。
さらに関連法制度の設問では、成年後見制度と生活保護制度がほぼ毎年出題されています。
それに加えて、面接時のコミュニケーション技法に関する出題は6年連続で問46に出題されています。
ソーシャルワークについての知識や、そのうちの個別援助技術、集団援助技術、地域援助技術についても毎年出題されているのが確認できます。
以上について簡単にまとめると、下記にリストアップしたポイントが特に重要であると言えるでしょう。
- 訪問介護
- 通所介護
- 短期入所生活介護
- 訪問入浴介護
- 介護老人福祉施設
- コミュニケーション技法
- ソーシャルワーク
- 個別援助、集団援助、地域援助
- 生活保護制度
- 成年後見制度
このことから分かるように、福祉サービス分野のうち10問は、出題確率が非常に高く、そのためより重点的に勉強する意義があると言えます。
もっとも福祉サービス分野はボリュームがそれほど多くないから、ヤマを張って勉強するとかはおすすめしないよっ
各ポイントの勉強のコツ
ここからは、ここまでにご紹介したほぼ毎年出題されている10のポイントの勉強のコツについて解説していきます。
面接時のコミュニケーション技法とソーシャルワーク
ソーシャルワークについての予備知識が全くないと、意外と正答を導き出すことができないポイントとなっています。
これはコミュニケーション自体の選択肢は一般的な知識で正誤判定をすることが可能なことが多いのですが、ソーシャルワークに関する単語の意味を問われることも多いためです。
この点は各出版社の試験対策テキストでも補完できていないことも多いため、社会福祉士の国家試験の過去問でソーシャルワークに関する問題の解説を読むのが最も効率よく勉強できるかと思われます。
筆者は福祉大卒ですが、ほぼ単語の意味を忘れていたため、社会福祉士の過去問を使ってソーシャルワークに関連する単語について復習しました。
また、介護支援専門員の倫理などに関連する選択肢の出題もみられることがあるため、こちらはテキストベースで学習を進めておくのがおすすめです。
個別援助技術、集団援助技術、地域援助技術
これらについての設問は、それぞれがどのようなものか理解できてしまえば全く勉強が不要となります。
それぞれの見分け方についてですが、援助対象の範囲で見分けるのが最も簡単かと思われます。
個別援助技術 | 援助対象が1人または少数(クライエントとその家族、等) |
集団援助技術 | 援助対象が狭い集団、条件が限定されている集団 |
地域援助技術 | 援助対象が広範囲、または地域資源の開発 |
成年後見制度
法制度なので苦手意識を持つ人も少なくないと思われます。
ただその内容は決して難しいものではなく、ケアマネジャー試験で出題される内容は比較的パターンが決まっている印象です。
- 法定後見制度と任意後見制度の内容
- 後見、保佐、補助開始の審判
- 任意後見監督人
この3点についてテキストで抑えておくと解答が容易となります。
基本は過去問ベースで勉強を進めていくのがおすすめです。
筆者は成年後見制度に関する勉強に最初だけテキストを使いましたが、8月以降は過去問でしか勉強しませんでした。それでも令和5年度の試験では迷うことなく正当を導くことができました。
生活保護制度
生活保護制度のうち、必ず抑えておきたいのは保護の種類とその給付方法です。
保護8種類のうち、原則として現物給付なのは介護扶助と医療扶助だけということも覚えておきましょう。
また、保護の原則についても出題される可能性が高いため、こちらも覚えておきましょう。
過去問ベースで勉強を進めてもいいですが、生活保護制度が絡んだ他制度(介護保険制度、生活困窮者自立支援制度、後期高齢者医療制度など)も多く、テキストベースで勉強したほうがより深い理解に繋がり正答を導きやすくなります。
訪問介護等の各サービス
各介護保険サービスは毎年多彩な選択肢が出題されるため、過去問に掲載されていないような内容が出題されることも度々あります。
運営基準、設備基準、人員基準、介護報酬のうちから多く出題がありますが、近年では介護報酬に関連する選択肢があまり見られなくなりました。
特に苦戦しやすい加算についての出題は明らかに出題頻度が減少しています。
勉強の優先順位が下がったことは受験生にとっては嬉しい状況かと思われます。
ただ、今後も出題傾向は必ず変化していきますので、試験自体の難化にも対応できるようテキストベースでの勉強をおすすめします。
まとめ
ここまで福祉サービス分野で特に出題されやすいポイントとそれらの勉強のコツについて解説してきました。
勉強のコツについては実際に行った筆者のケアマネジャー試験勉強の経験や、問題作成とその解説の作成のための調査に基づいて解説しています。
この記事で紹介したポイントをしっかり抑えておくと、福祉サービス分野の失点を防ぐことができる可能性が高まるかと思われます。
ソーシャルワークに関連する勉強はケアマネジャー試験の過去問や社会福祉士試験の過去問を用いて、福祉サービスに関連する勉強はテキストを用いて行なっていくことがおすすめです。
皆さまがケアマネジャー試験を合格できるよう、祈願しております。