この記事の学習優先度は”非常に高い”です。
要介護認定に関する内容は毎年ケアマネジャー試験に複数問出題されており、出題形式も多彩で、しっかり理解していないと不正解となりやすいポイントの1つです。
この記事では”要介護認定の申請から認定調査まで”をケアマネジャー試験の出題内容に沿った形で解説を行っていきます。
要介護(要支援)認定の概要
認定は市町村ごとに行われますが、調査や審査、判定は全国一律の基準で行われます。
市町村ごとに独自の基準を設けているわけではないため注意しましょう。
要介護(要支援)状態について
要介護(要支援)状態と認定されるには、要介護(要支援)状態であることが前提となります。
具体的には常時介護を要すると見込まれる状態が6ヶ月にわたって継続している場合を要介護状態といいます。
要支援状態は、常時介護を要する状態の軽減、または悪化の防止のために支援が必要だと見込まれるか、心身の障害によって6ヶ月にわたって日常生活を営むことに支障がある場合のことをいいます。
第1号被保険者にはこれ以外の条件がありませんが、第2号被保険者の場合、上記にプラスして要介護(要支援)状態となった理由が、特定疾病によるものでなければ認定を受けることができません。
特定疾病についてはこちらの記事でケアマネジャー試験向けに解説しています。⤵
なお2021年のデータでは、要介護認定を受けた者のうち要介護1と認定を受けた者が1番多く(142.9万人)、次に要介護2が多いとされています。(116.2万人)
続いて要支援1(97.4万人)、要支援2(95.2万人)の順で多くなっています。
要介護認定の申請
要介護認定の申請は、市町村の窓口に被保険者が行います。
なお申請を行う者は本人が原則ですが、次のような者に申請を代行することができます。
① 家族、親族
② 成年後見人
③ 地域包括支援センター
④ 居宅介護支援事業者
⑤ 介護保険施設
⑥ 地域密着型介護老人福祉施設
⑦ 民生委員
⑧ 社会保険労務士
認定の申請を代行できる者については、過去の試験で出題されたことがありますっ。赤字は特に要チェック!
認定の申請の際に被保険者証を提出すると引き換えに、資格者証が発行され、要介護認定が正式に決定し要介護認定の記載された被保険者証が交付されるまでの間はこれを被保険者証として扱うことができます。
この資格者証を提示することにより、認定の申請中でも介護サービスを受けることが可能です。
認定調査
認定調査には、新規認定の調査と更新認定の調査があります。
それぞれ調査を行うことができる者が異なります。
① 市町村の職員
② 市町村事務受託法人
① 市町村の職員
② 市町村事務受託法人
③ 地域包括支援センター
④ 居宅介護支援事業者
⑤ 介護支援専門員
⑥ 介護保険施設
⑦ 地域密着型介護老人福祉施設
新規認定調査は原則として市町村の職員が行いますが、例外的に、市町村事務受託法人に委託することができます。
ちなみに市町村事務受託法人の指定は都道府県知事が行いますっ
更新認定の調査は、新規認定調査を行うことができる者以外も行うことができます。
やや覚えにくいですが、「居宅、施設、包括、ケアマネ」と「特定施設は×」と筆者は覚えました。
なお調査対象の被保険者が遠い場所に住んでいる場合、その被保険者が居住している市町村に認定調査を委託することができます。
「委託することができる」であるため、申請を受けた市町村自ら認定調査を行うことも可能です。
認定調査にあたって、認定調査員が調査を行う際に用いる認定調査票があります。認定調査の基本調査項目は次の通りです。
基本調査項目 | |
---|---|
身体機能・起居動作に関連する項目 | 歩行、起き上がり、寝返り、麻痺の有無、視力、聴力など |
生活機能に関連する項目 | 移乗、着替え、洗顔、口腔衛生保持、食事動作、外出頻度など |
認知機能に関連する項目 | 中核症状、BPSDなど |
精神・行動障害に関連する項目 | 抑うつ、情緒不安定、介護抵抗、収集癖、独り言、攻撃的、昼夜逆転、虚言など |
社会生活への適応に関する項目 | 集団への不適応、買い物、金銭管理、日常生活上の意思決定、薬の内服など |
特別な医療に関連する項目 | 過去14日間に受けた特別な医療(透析、ストーマ、気管切開の処置、経管栄養など)について |
日常生活自立度に関連する項目 | 障害高齢者の日常生活自立度、認知症である高齢者の日常生活自立度 |
後述する主治医意見書の項目と混同しやすいうえに、同じ問題に選択肢として混ぜられると非常に難易度の高い問題となります。
試験対策として集団への不適応と買い物に関しては主治医意見書の項目には含まれない。とだけは最低限覚えておくことをおすすめします。
主治医意見書
主治医意見書は介護認定審査会の2次判定で主に用いられるもので、市町村が被保険者の主治医に医学的な意見を記載するように求めるものです。
被保険者に主治医がいない場合、市町村の指定する医師や市町村の職員の医師が診断を行って主治医意見書に意見を記載します。
主治医意見書は被保険者が認定の申請のときに一緒に添付するものではありませんっ。認定審査会が依頼するものでもありませんっ
また、被保険者が正当な理由がなく市町村の指定する医師の診察を拒否した場合は、市町村は認定の申請を却下することができます。
主治医意見書の項目は次の通りです。
主治医意見書の項目 | |
---|---|
0.基本情報 | 申請者の氏名、年齢等 最終診察日、他科の受診、意見書作成回数など |
1.傷病に関する意見 | 診断名、症状としての安定性、経過、治療内容 生活機能低下を招いている直接的な原因の傷病など |
2.過去14日に受けた特別な医療 | 処置内容、特別な対応、失禁への対応など |
3.心身の状態に関する意見 | 障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度 認知症の中核症状、BPSD、精神症状、身体状態など |
4.生活機能とサービスに関する意見 | 移動、栄養・食生活、医学的管理の必要性 サービス利用による生活機能の維持・改善の見通し サービス提供時における医学的管理の留意事項(バイタルや嚥下、移動や運動など) 感染症の有無など |
5.特記事項 |
基本調査項目と混同しやすいですが、4.生活機能とサービスに関する意見のチェック項目を覚えておけば、それ以外は医療的な内容であるため選択肢として出題されてもさほど苦戦しないと思われます。
「家族の介護力」、「集団への不適応」、「社会参加」、「認定調査票の特記事項」などは主治医意見書の項目には含まれていませんっ
確認テスト
問1 要介護認定に係る調査基準は、全国一律の基準に沿ったうえで市町村の情勢に合わせ独自に定めることができる。
問2 介護医療院は要介護認定の申請の代行を行うことができる。
問3 認定調査票の基本項目に、「特別な医療に関する項目」は含まれる。
問4 被保険者に主治医がいない場合、介護認定審査会の指定する医師が被保険者の診断を行い主治医意見書の記載を行うよう求める。
まとめ
ここまでケアマネジャー試験対策として、要介護(要支援)認定の申請から認定調査までの解説を行ってきました。
要介護認定についての問題は非常に高い頻度で出題されており、このページに記載されている内容すべてが出題対象であり重要なポイントであると考えたほうが良いかと思われます。
ここ2年のケアマネジャー試験は介護支援分野の合格基準点が高く設定されており、この傾向が続くと仮定するならば、こういった出題されやすいポイントを重点的に学習し失点を防ぐことが試験対策として重要となります。
過去問なども駆使し、インプットと併用してアウトプットも常々行っておくことをおすすめします。
皆様が試験に合格できるよう祈願しております。