介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)で特定疾病は出題されやすいポイントの1つです。
この記事では特定疾病について、ケアマネジャー試験で特に重要となるポイントについて簡単に解説していきます。
※この記事では、要介護・要支援や介護・支援の記載を「要介護等」「介護等」と、「等」でまとめて記載しています。
特定疾病とは
特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって次のいずれの要件をも満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である。
1) 65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率(類似の指標を含む。)等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの。
厚生労働省
2) 3~6ヶ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病。
簡単に書くと、加齢が発症の原因に関係があって、長期間継続して要介護状態等になる割合が高いと考えられる疾病のことをいいます。
介護保険制度上の位置付け
第2号被保険者が要介護認定等を受けるためには、特定疾病が原因となって要介護状態等になっている必要があります。
言い換えれば、特定疾病以外が原因で介護等が必要な状態となっても第2号被保険者は要介護認定等を受けることができません。
また、要介護認定を受けるためには主治医意見書で特定疾病に該当すると記載されている必要があります。
第1号被保険者は特定疾病に罹患していなくても、65歳以上で保険者の地域内に住所を有していれば要介護等と認定されます。
ここはケアマネジャー試験に出題されやすいポイントなので、まるっと覚えましょう。
特定疾病の種類
介護保険法上、特定疾病とされるのは次の16疾病です。
・末期がん
・関節リウマチ
・筋萎縮性側索硬化症(ALS)
・後縦靱帯骨化症
・骨折を伴う骨粗鬆症
・初老期における認知症
・進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
・脊髄小脳変性症
・脊柱管狭窄症
・早老症
・多系統萎縮症
・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症
・脳血管疾患
・閉塞性動脈硬化症(ASO)
・慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)
・両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節
すべて覚えておくに越したことはありませんが、特にケアマネジャー試験上重要となるポイントは次のとおりです。
通常のがんは特定疾病ではない。
特定疾病に該当するのは末期のがんのみです。それ以外のがんは含まれません。
関節リウマチのステージは特定疾病該当に関係ない
関節リウマチには、関節破壊の進行度によって4段階のステージがありますが、いずれも特定疾病に該当します。
骨粗鬆症は骨折を伴っていなければならない
骨折がない骨粗鬆症、骨粗鬆症が起因しない骨折は特定疾病に含まれません。
初老期のものでなければ認知症は特定疾病に含まれない。
初老期とは40歳から64歳を指します。
第2号被保険者も40歳から64歳ですので、この期間に認知症になった場合は特定疾病に該当します。
糖尿病自体は特定疾病ではない
糖尿病の三大合併症である、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害は特定疾病に含まれますが、糖尿病単体は特定疾病ではありません。
指定難病との混同に注意
特定疾病によく似た言葉に、「指定難病」があります。
指定難病とは、「発病の原因が解明できておらず、治療法が確立できていない長期にわたって療養が必要となる可能性が高いもの」を言います。
特定疾病に該当するもののいくつかは、指定難病にも該当します。
例)パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺など
ケアマネジャー試験テキスト上、目にする機会が比較的多い「重症筋無力症」、「筋ジストロフィー」、「潰瘍性大腸炎」などは指定難病であるものの特定疾病ではないため注意してください。
まとめ
ここまで特定疾病について、ケアマネジャー試験に出題されやすいポイントを簡単に解説しました。
第2号被保険者が要介護状態等となった原因が特定疾病でなければ、要介護認定等の申請は却下されます。
特定疾病は16種類あり、完璧に記憶することは苦労するため、最初は記事で紹介した重要なポイントに絞って記憶するのがおすすめです。
その場合、学習時間に余裕ができた時に詳細な内容をインプットをしてみてください。
皆さまがケアマネジャー試験を合格できるよう、祈願しております。