次の問いに答えなさい。
なお文中の「市町村」は、「市町村および特別区」の意味となります。
問28 介護保険による給付が他法令による給付より優先するものはどれか。3つ選べ。
1. 労働基準法による療養補償給付
2. 健康保険法による療養の給付
3. 障害者総合支援法による自立支援給付
4. 戦傷病者特別援護法による療養の給付
5. 生活保護法による介護扶助
1、4:× 労働基準法による療養補償給付は介護保険による給付に優先します。
そのほか労災や公務災害、船員の災害、国家補償(被爆者や戦傷病者に対する援護)などに対する給付はすべて介護保険による給付に優先します。
2:〇 例えば訪問看護には「(健康保険証等を提示して受ける)医療保険による訪問看護」と「介護保険による訪問看護」がありますが、利用者が訪問看護を利用する場合は介護保険による訪問看護が優先となります。
3:〇 障害者総合支援法の自立給付と介護保険の給付が重複する場合は、自立給付が同時に供給されることはありません。ただ、介護保険の給付にないサービスについては給付されます。
5:〇 生活保護は他法優先の原理があるため、介護保険法による給付が優先となります。
問29 介護保険の保険給付について正しいものはどれか。3つ選べ。
1. 市町村は、不正行為によって保険給付を受けた者から、その給付の価額の全額または一部を徴収することができる。
2. サービス事業者が、不正行為によって現物給付化された費用の支払いを受けた場合、市町村はその返還額に4割加算した額の支払いを命じることができる。
3. 国民健康保険団体連合会は、保健給付に関して事業者に文章等の提示を求めることができる。
4. 保険給付の事由が第三者行為によって生じたものであった場合、第三者が被保険者に損害賠償を行う前に市町村は保険給付を行うことができる。
5. 国民健康保険団体連合会は、都道府県の委託により第三者行為求償事務を行うことができる。
1、2:〇 被保険者の不正は「全額または一部の徴収」、サービス事業者や施設の不正は「4割増し」で覚えておきましょう。
3:× 国民健康保険団体連合会(以下、国保連と記載)にはこのような権限はなく、文書等の掲示を求めることができるのは市町村です。
4:〇 設問通りです。この場合は、市町村はその給付額の限度で被保険者が第三者に対して有する損害賠償請求権を取得します。分かりやすく書くと、このようになります。
「第三者からの損害賠償金をまず先に使ってもらって、損害賠償金で賄えない分は介護保険の給付から出しますね。損害賠償金がまだ払われてないなら、すでに給付した分は損害賠償金の範囲内で第三者に請求しておきますね。」
5:× 国保連は市町村から委託され第三者行為求償事務を行うことができます。
問30 保険給付について正しいものはどれか。2つ選べ。
1. 介護保険による給付は差し押さえることができる。
2. 刑事施設に拘束されている者は介護保険による給付は行われない。
3. 介護保険による給付は租税を引いた金額が給付される。
4. 要介護者が主治医意見書のための診断命令に従わない場合、介護保険による給付を制限することができる。
5. 要介護者がサービスの利用等に関する指示に従わずに要介護状態を悪化させた場合、介護保険による給付の一部または全額を制限するこができる。
1、3:× 介護保険を含む社会保険の給付は、租税や公課を課すことは禁止されており、差し押さえることもできません。また保険給付の受給権利を譲ったり担保にすることもできません。
2,5:〇 設問通りです。
4:× この場合は、市町村は要介護者の認定を取消すことができます。